会社法上の「役員」と肩書の関係
会社法では、「役員」として以下の人が定められています。
このほかに合同会社では、業務執行社員が役員のような立ち位置で扱われます。
会社では、これ以外に社内的な役職(肩書)を設けることがあります。社長だったり、会長だったり、そのほかにもCEO、COOなどさまざまです。
それでは、会社法上の役員と、肩書に関係性はあるのでしょうか?
会社法上は、こうした関係性について、以下のような定めがあるのみです。
(表見代表取締役)
第354条 株式会社は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該取締役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
(表見代表執行役)
第421条 指名委員会等設置会社は、代表執行役以外の執行役に社長、副社長その他指名委員会等設置会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合には、当該執行役がした行為について、善意の第三者に対してその責任を負う。
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こうした規定があるということは、裏を返せば登記上の役員にどのような肩書を付けるかということは、会社の自由ということになります。むしろ登記上の役員でなくても肩書をつけても会社法上は問題ないということになります。
ただし、上記の規定のように、代表取締役以外の者に「社長」や「副社長」など会社を代表するような肩書を付けてしまうと、株式会社はその者のした行為について責任を持つことになります。「代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。」と会社法では定められていますので、あたかも代表者であるかのような肩書をもつ者が行った行為は、代表取締役が行ったものとして扱われるということです。
代表者以外の肩書には代表をイメージしないものを付ける
そのため、会社法上の制限はありませんが、少なくとも肩書を付ける場合には、登記上の代表取締役以外の者については、代表者であるかのような肩書は避けたほうがよいでしょう。こうした肩書には会社法上挙げられている「社長」や「副社長」のほか「CEO」などが該当すると考えられます。結局は社会の一般的なイメージ、その他名刺やホームページへの記載などを通して、どこまでが代表者であると捉えられれるかということになってきます。
旧商法では「専務取締役」「常務取締役」といった肩書も列挙されていましたが、会社法では削除されました。しかし、これらの肩書が法律から削除されたからといっても、以下にも代表権があると思わせるような名刺を作っているなどの事情があれば表見代表取締役に該当してくると考えられますので注意しましょう。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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