コラム

法人を任意清算する場合の財産処分方法とは?

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合名会社や合資会社、士業法人など無限責任社員がいる法人については任意清算という方法が認められています。

これは、株式会社や合同会社と異なり、無限責任社員がいる法人については、そこまで厳格に解散清算の手続きを定めなくても、債権者などの利害関係者を害さないためです。例えば、債務が残っていても無限責任社員が清算後に弁済する義務があり、解散清算の過程でそこまで厳密に保護を行う必要はないということです。

実際には、任意清算は以下の条文で定められています。

会社法

第668条
  1. 持分会社(合名会社及び合資会社に限る。以下この節において同じ。)は、定款又は総社員の同意によって、当該持分会社が第641条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合における当該持分会社の財産の処分の方法を定めることができる。
  2. 第二節から前節までの規定は、前項の財産の処分の方法を定めた持分会社については、適用しない。

この条文の「当該持分会社の財産の処分の方法を定めることができる」という部分で、解散時に任意の方法で財産(資産や負債)の割り当てを決めた場合が任意清算に該当します。

例えば以下のような定め方が考えられます。

・特定の社員が全ての資産と負債を引き継ぐ

・資産をすべて売却して分配し、負債は特定社員が引き継ぐ

定め方は無数に考えられますが、要するに法人の自由ということです。

この定めは解散時の総社員の同意書に記載しておく必要があります。無限責任社員がいる法人の場合、法定清算であれば債務を弁済しきらないと清算できませんが、任意清算であれば特定の社員が債務を個人引き受けするなどして清算することが可能です。(その代わり債権者保護手続きが必要となりますが。)

法人の任意清算をお考えの方は、お気軽に当事務所にご相談ください!

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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