起業して会社設立する場合、99%以上は株式会社と合同会社が占めています。主流は株式会社ですが、会社設立件数に占める合同会社の割合もじわじわと伸びてきています。
弊社が受ける起業に関する相談でも、「合同会社と株式会社のどちらがいいですか?」といったことは多いです。
それでは、株式会社と合同会社ではどのような違いがあるかを見ていきましょう。
■会社設立時の費用の違い
まず会社設立手続きに際しての大きな違いは、費用です。合同会社では、公証人による定款の認証が不要であるため、株式会社と違って認証費用が掛かってこないのです。また、会社設立に要する登録免許税も6万円と、株式会社(15万円)の2/5と随分低くなっています。
株式会社 | 合同会社 | |
定款認証費用 | 約52,000円 | 認証不要 |
登録免許税 | 150,000円 | 60,000円 |
表から分かるように、約14万円の差があります。
■それでも株式会社が選ばれるわけ
これだけ見れば合同会社が断然お得に見えますが、依然として株式会社の設立件数が多いのはなぜでしょうか。
その理由の一つとして考えられるのは、知名度です。合同会社は会社法施行とともに新たにできた会社の形態です。会社といえば株式会社というイメージはいまだに強く、取引先としても、株式会社の方が安心感があるといえます。
もう一つは、資金調達の幅が広がる点です。事業を拡大する場合などで新たな資金需要が発生した場合を考えてみましょう。合同会社ですと、新たに出資を受ける場合には、社員全員の同意が必要となるなど手続きが煩雑で、大口での資金調達は借入が中心となります。一方株式会社であれば、株主総会の決議で募集株式の発行が可能ですので、合同会社に比べて、出資は受けやすいといえます。
最近では、事業が拡大してくると、ベンチャーキャピタルなどの出資を検討する会社も多いですが、その場合は株式を発行できないとハナシになりません。
このように、設立後は何かと株式会社の方が事業を運営しやすいのです。合同会社をオススメできるケースとしては、個人事業主が税金対策で法人成りする場合や、飲食店など会社名が前面に出ない商売が考えられます。個人事業主の法人成りであれば、すでに個人事業主として取引先との信頼関係もできているので、合同会社であってもさほど抵抗感もないでしょう。また、飲食店など店舗系ビジネスでは、社名とは別に思い思いの店名をつけるため、社名に注目されることがあまりありません。
とはいえ、多店舗展開する場合など、第三者から出資を受けるケースもないとは言えません。その場合は、やはり株式会社の方が都合がよいでしょう。こうした場合には、組織変更という手続きも可能です。一旦合同会社として設立したけど、やはり株式会社に変更したいという場合は、所定の手続きをとって登記すれば、変更できるのです。
ほかにもいろいろある違い
株式会社と合同会社でほかにどのような違いがあるかまとめてみました。
株式会社 | 合同会社 | |
出資者の名称 | 株主 | 社員 |
出資者の責任 | 出資額までの有限責任 | 出資額までの有限責任 |
設立と運営に必要な人数 | 1人以上 | 1人以上 |
意志決定最高機関 | 株主総会 | 社員総会 |
業務執行者 | 取締役 | 業務執行社員 業務執行社員を選任しない場合は社員全員 |
業務執行者と出資者の関係 | 委任契約 株主以外からでも選任可 | 社員本人 社員以外からは選任不可 |
業務執行者の任期 | 通常2年、最大10年 | 任期なし |
会社の代表者 | 各取締役 代表取締役を定めることも可能 | 各社員 代表社員を定めることも可能 |
株主への利益配分 | 株式の割合に応じて配分 | 出資割合に関係なく社員の合意で自由に配分 |
株式(持分)の譲渡 | 原則として自由
譲渡制限をかけることも可能 |
社員全員の同意が必要 |
費用面に目が行きがちですが、このように法律上もさまざまな違いがあります。経営者になるからには、一時的なコストにとらわれず、長期的な視野からものごとを考える必要があります。
株式会社にするか合同会社にするかは将来的な事業展開なども踏まえてきめるべきです。どちらで会社設立するか迷っている場合は、ぜひ弊社の無料相談をご利用ください!