役員の給与には、主に月給に該当する定期同額給与と、賞与に該当する事前確定届出給与という2つが存在します。
そのうち、事前確定届出給与については、以下の期限までに管轄の税務署に事前確定届出給与についての届出書を提出していないと費用(損金)として計上できなくなります。(法人税法第34条、法人税法施行令第69条)
届け出の期限 | |
---|---|
1. 法人設立時(設立から最初の事業年度) | 設立日から 2か月以内 |
2. 定時株主総会で決定した場合(通常の事業年度) | 決議日から 1か月以内 |
3. 特別決議で決定した場合 | 決議日から 1か月以内 |
ただし、事業年度開始から4か月を経過する日が最終期限 |
合同会社の場合は、決議ではなく、定款の定めに応じて社員間の決定によりますが、期限としては同様です。
ただし、役員の職務執行開始日よりも決議日が後になる場合は、職務執行開始日が起算点となります。この「職務執行開始日」というのが若干分かりにくいですが、おおむね以下のように考えておけばよいでしょう。
ケース | 職務執行開始日 | 理由 |
---|---|---|
1. 法人設立時の場合 | 登記上の法人設立日 | 法人が設立された日に役員としての職務が開始されるため。 |
2. 新たに役員が就任した場合 | 役員としての就任が決定し、株主総会で決議された日(決議の後に就任承諾があった場合は、就任承諾があった日) | 就任が正式に決定した日から役員としての職務が始まるため。 |
3. 役員が重任された場合 | 重任を決議した定時株主総会の開催日 | 重任された日を基準とするため。 |
上記のように、新たに役員が就任した場合には、その就任日(決議日か就任承諾日のいずれか遅い日)を職務執行開始日として、その日から1か月以内に事前確定届出給与の届出をすればよいということになります。しかし、ここで一点問題があります。それは、事業年度開始から4か月を経過する日が最終期限となっていることです。そのため、例えば事業年度が始まってから6か月目などに就任した役員については、すでに期が始まってから4か月経過しているため事前確定届出給与は出せないということになります。
ただし、もともといた従業員を役員に昇格させたような場合はいわゆる臨時改定事由に該当する可能性があり、この場合は期中の就任であっても事前確定届出給与の対象にできると考えられます。
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この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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