会社の休眠とは?
世の中には、登記としては存在しているけど実際には稼働していない会社があります。こうした会社のことを「休眠会社」と呼ぶことがあります。
具体的には、以下のようなケースが休眠会社と呼ばれます。
・会社を設立したけど実際には稼働しなかったというケース
・営業していた会社が業績の悪化などで営業を止めるようなケース
特に、金融機関の借入金や未払金などの債務がなく継続取引している顧客がいなければ、営業を停止することは簡単ですし、実際にそうやって営業を停止する会社も多々あります。こうして、営業活動を行っていない会社を一般的に「休眠会社」といいます。
休眠時の財産の取り扱い
そもそも「休眠」という言葉は、会社法で休眠会社のみなし解散のところに出てくる言葉です。
会社法
第472条 休眠会社(株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から十二年を経過したものをいう。以下この条において同じ。)は、法務大臣が休眠会社に対し二箇月以内に法務省令で定めるところによりその本店の所在地を管轄する登記所に事業を廃止していない旨の届出をすべき旨を官報に公告した場合において、その届出をしないときは、その2箇月の期間の満了の時に、解散したものとみなす。ただし、当該期間内に当該休眠会社に関する登記がされたときは、この限りでない。
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このように法人税法などの税法上に「休眠」という手続きがあるわけではなく、登記上の用語です。そのため、法人税などで休眠というオフィシャルな手続きがあるわけではありません。
実際には税務上も会社の事業活動がストップした状態を休眠と呼んで、その旨の届出を税務署や各自治体に提出するのが一般的です。しかし、休眠という届出はあくまで事業活動をやめましたということを税務署などに知らせる報告的な届け出で、それをもって解散清算のように税務的な課税(例えばみなし配当など)が発生するわけではありません。
それでは、休眠するという届出を出した時点で会社に残っていた預金などはどうなるのでしょうか?
この場合、事業活動は停止しているわけなので、それ以上預金が動くということは理屈上あり得ません。(利息などで多少の動きはあるかもしれませんが。)
赤字などで休眠する場合はほとんど会社の預金口座にお金が残っていないことが通常ですのであまり気にすることもありませんが、会社の預金口座にお金が残っていて、その口座を解約して手元に戻ってきたお金が数百万円あるなどそれなりの金額になっていると税務上の扱いも気になります。
この場合、解散清算ではないので、みなし配当のような課税は行われません。理屈上は、休眠というのは単なる事業を行わないという状態に過ぎず会社の存在としては続いています。そのため、休眠会社の口座を解約して手元に戻したお金は会社のお金を社長が預かっている状態ということになります。そのため、本来であれば会社のためにしか使ってはいけないお金ということになります。
しかし、お金に色はありませんので、例えば口座解約して300万円の現金が社長個人の口座に振り込まれた場合、常に300万円の預金が残っていれば、会社からの預り金には手を付けていないということになります。例えば、もともと個人的に500万円もっている社長が休眠会社の口座から300万円受領して800万円の預金になった場合、500万円までは使ってしまってもOKということです。300万円残っていれば、それは預り金として扱えます。
しかし、自家用車を買うなどして個人的に使ってしまった場合、これは休眠会社から預かったお金を使い込んだということになります。この場合は預り金ではなく、休眠会社から社長への貸付ということになります。役員への貸付なので利息も発生します。会社から見れば貸付をしている、つまり事業活動をしているわけなので休眠をしているという理屈も通らなくなり、最低でも利息分については毎年法人税の申告が必要になるでしょう。
この辺りは休眠を考える際に顧問税理士とよく相談しておくべきでしょう。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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