コラム

合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制

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合同会社では、利益分配のほかに社員に対して払い戻す方法として、持分の払戻しと出資の払戻しがあります。

持分の払戻しと出資の払戻しの違いは以下の通りです。

持分の払戻し 出資の払戻し
社員の退社 伴う 伴わない
払戻しの金額算定 時価 簿価
一部だけの払戻し 不可
払戻しの限度額規制 なし あり

そもそもの内容としては社員が退社するかどうかということで、それに伴っていくつかの違いが生まれています。

この両者の違いのうち、出資の払戻しについて規定されているのが限度額規制です。

社員に対して出資金を払い戻す場合、以下のように定められています。

(出資の払戻し又は持分の払戻しを行う場合の資本金の額の減少)

会社法 第626条
  1. (中略)
  2. 前項の規定により出資の払戻しのために減少する資本金の額は、第632条第2項に規定する出資払戻額から出資の払戻しをする日における剰余金額を控除して得た額を超えてはならない。

(出資の払戻しの制限)

会社法 第632条
  1. (中略)
  2. 合同会社が出資の払戻しにより社員に対して交付する金銭等の帳簿価額(以下この款において「出資払戻額」という。)が、第624条第1項前段の規定による請求をした日における剰余金額(第626条第1項の資本金の額の減少をした場合にあっては、その減少をした後の剰余金額。以下この款において同じ。)又は前項の出資の価額を減少した額のいずれか少ない額を超える場合には、当該出資の払戻しをすることができない。この場合においては、合同会社は、第624条第1項前段の規定による請求を拒むことができる。

色々と書いてありますが、出資の払戻しのために減資を行う場合には2種類の上限規制が存在しています。

一つは資本金のそのものの減少額の上限規制、もう一つは払戻し額そのものの上限規制です。

資本金の額の減少の上限 払い戻す金額-その社員のために計上されている資本剰余金の額
払戻し額そのものの上限

資本金の額の減少の上限については、全額を資本金に計上してあれば、資本金の額そのものが上限となります。つまり資本剰余金の計上がない場合は、資本金の額そのものを払い戻しても問題ないということになります。

もう一つの払戻し額そのものについての上限規制は少々複雑です。以下の表のうち、最も少ない金額が払戻し額そのものの上限規制ということになります。

社員が払戻しの請求をした日における剰余金額(会社法第626条の資本金の額を減少した場合にあっては,その減少後の剰余金額)

具体的には右のうちいずれか少ない額

当該合同会社の利益剰余金及び資本剰余金の合計額
当該社員につき資本剰余金に計上されている額
定款を変更し当該社員の出資額を減少した場合の減少額

まとめると以下のうち、もっとも少ない金額までしか払戻しができないということになります。

1)合同会社の利益剰余金及び資本剰余金の合計額

2)出資の払戻しを請求した社員につき資本剰余金に計上されている額

3)出資金の減少の請求があった額

特に1)の規制があるため、資本剰余金がない合同会社で赤字の場合、出資金の払戻しはできないということになります。こうなると、例えば税務上の観点などで減資したいといったケースでは上限規制がない持分の払戻しを行うなどの対応が必要になるケースもあります。

合同会社の減資手続きについては、会社法や税務などさまざまな観点での検討が必要です。合同会社の減資についてお考えの会社様はお気軽に当事務所までご相談ください!

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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