コラム

株式の譲渡所得の確定申告とふるさと納税の現限度額の関係

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株式の譲渡所得や配当所得を確定申告するとふるさと納税の限度額も上がる

毎年年末になると、多くのクライアント様からふるさと納税の限度額についての問い合わせを受けることがあります。

その中で多い質問の一つが、株式の譲渡や配当を確定申告すればふるさと納税の限度額も上がるのかということです。特定口座であれば株式の譲渡や配当に係る所得税や住民税についてはすでに天引きが行われているため確定申告をする必要はありません。しかし、あえて確定申告することでふるさと納税の限度額が上がるのであれば確定申告しようということです。

それでは、株式の譲渡所得や配当所得をあえて確定申告することでふるさと納税の限度額が上がるのかということについては、答えとしては「YES」です。

ふるさと納税の限度額の計算式

そもそも、ふるさと納税の限度額がどのように決まっているのかということについて確認します。

多くのふるさと納税関連のサイトには、限度額の早見表が掲載されています。とはいっても、自分の税金に関わることなので仕組みくらいは知っておいてもよいでしょう。ただ、数式が多いので面倒な方は読み飛ばしてください。

ふるさと納税は次の3つの控除で成り立っています。

1.所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率

2.住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10%

3.住民税からの控除(特例分) =(ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%-所得税の税率)と(住民税所得割額)×20%の少ない方

 

このうち、ふるさと納税の年間限度額を決めているのは、3の特例分です。特例分の計算に必要なのは、自分に適用される所得税の税率と、住民税所得割額です。つまりこの2点が分かれば限度額は計算できます。

それでは年収600万円で独身の会社員Aさんを例に限度額を計算してみましょう。

まずは所得税の税率を見てみます。給与所得控除は600万円の場合174万円なので、給与所得は426万円です。社会保険料が大体年収の15%程度として90万円、基礎控除(誰でも必ず所得から控除できる金額のことです。)が38万円とすると、所得税が課税される金額は、(426万円-90万円-38万円)=298万円です。この場合の税率は10%となります。

次に住民税所得割額です。税率は通常10%で一定です。住民税の場合、基礎控除が33万円なので、住民税所得割額は(426万円-90万円-33万円)×10%=30万3,000円です。ここからは、ふるさと納税の限度額計算の数式に当てはめます。結果としてふるさと納税の限度額は以下のような数式で表せます。

ふるさと納税の限度額=確定申告での住民税所得割額×20%÷(90%-所得税率)

とはいえ、住民税所得割額が分かるのは実際に住民税の通知を受ける翌年5月ごろなので、結局この数式は自ら住民税の所得割を事前にある程度計算できる人でないと使えないため、結局は各サイトのシミュレーターに頼ることにはなると思いますが。

数式はさておき、株式の譲渡所得や配当所得にかかる住民税も住民税所得割の一部です。確定申告すればその分だけ所得割が増えるので、ふるさと納税の限度額もアップします。同じことは、自宅などの不動産を売却して一時的に所得が増加した場合にも当てはまります。その年だけはふるさと納税の限度額も跳ね上がるということがあり得ます。

 

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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