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任意清算とは?法定清算との違いは?

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任意清算とは?

法人の清算というと清算人を選任して債権者への弁済を行って、というように清算を進めていくことになります。これを法定清算といいます。

例えば株式会社であれば、法定清算の流れは主に以下の通りです。(取締役がそのまま清算人になる場合)

1)株主総会の特別決議による解散の決議
2)解散の登記申請
3)債権者保護手続き(2か月間)
4)3)の満了後に、各債権者への弁済
5)残余財産の分配
6)清算結了のための株主総会による決算報告の承認
7)清算結了の登記申請

このように会社法で決められた手順に従って進める法定清算ですが、清算にはもう一つのやり方があります。それが任意清算です。

会社法

第668条
  1. 持分会社(合名会社及び合資会社に限る。以下この節において同じ。)は、定款又は総社員の同意によって、当該持分会社が第641条第一号から第三号までに掲げる事由によって解散した場合における当該持分会社の財産の処分の方法を定めることができる。
  2. 第二節から前節までの規定は、前項の財産の処分の方法を定めた持分会社については、適用しない。
第670条
  1. 持分会社が第668条第1項の財産の処分の方法を定めた場合には、その解散後の清算持分会社の債権者は、当該清算持分会社に対し、当該財産の処分の方法について異議を述べることができる。
  2. 前項に規定する場合には、清算持分会社は、解散の日(前条第2項に規定する場合にあっては、当該財産の処分の方法を定めた日)から2週間以内に、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第二号の期間は、1箇月を下ることができない。
    一 第668条第1項の財産の処分の方法に従い清算をする旨
    二 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

任意清算は、以下の事由で解散した場合のみ認められる方法です。
1.定款で定めた存続期間の満了
2.定款で定めた解散の事由の発生
3.総社員の同意

任意清算と法定清算の違い

任意清算では清算人の選任も不要で、財産の処分方法も総社員の同意によって決めることができるなど法定清算に比べて手続きが簡単になっています。ただし、この任意清算が認められるのは無限責任社員がいる場合のみです。つまり、合名会社や合資会社、士業法人などでは認められますが、合同会社や株式会社ではこのような任意清算の方法を採ることはできず、必ず法定清算の方法によらなければいけません。

任意清算と法定清算について主な違いは以下の通りです。

任意清算 法定清算
法人の種類 合名会社、合資会社、士業法人など 問わない
清算人 不要 必要
債権者保護手続きの公告期間 1か月 2か月(ただし、合名会社、合資会社、士業法人は不要)
残余財産の処分方法 定款や総社員の同意で決められる 原則として出資比率

債権者保護手続きが法定清算の2か月に対して、任意清算は1か月だけでよいということになっています。一方で、法定清算の場合、無限責任社員がいる法人では債務を弁済しきらないと清算できないため、債権者保護手続きが不要となります。

また、清算人の選任も不要なため、清算人選任の登記のコストなどが抑えることができます。

ただし、繰り返しになりますが、合同会社や株式会社では任意清算の方法を採ることはできません。任意清算は士業法人の解散など限られた場面のみ採れる方法ですが、もし任意清算で進めることができるのであれば、任意清算を選択したほうがメリットは大きいといえます。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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