事業所得と不動産所得の両方ある場合の青色申告特別控除
青色申告特別控除は事業所得と不動産所得、山林所得に対して適用されます。ただ、山林所得についてはレアケースなので、多くの人にとって青色申告特別控除といえば事業所得と山林所得ということになります。
そして、中には個人事業主として事業所得を有しながら不動産オーナーとして不動産所得も有しているという人もいます。
このようなケースで青色申告特別控除はどのように適用されるのでしょうか?
まず青色申告特別控除については、青色申告を行う個人単位で適用することになっていて、不動産所得、事業所得の順に控除していくということが定められています。(租税特別措置法第25条の2)
適用は個人単位であり、所得単位ではないので個人で事業所得と不動産所得を申告していたとしても受けられる青色申告特別控除は最大で65万円です。(所得ごとに適用して最大130万円の青色申告特別控除の適用が受けられるというわけではありません。)
また、青色申告特別控除については以下のように限度額が設けられています。(複式簿記により記帳している場合で電子申告している場合)
事業所得 | 65万円 | |
不動産所得 | 事業的規模 | 65万円 |
事業的規模以外 | 10万円 |
上記のように不動産所得については、事業的規模かそうでないかで青色申告特別控除の適用額が変わります。
ここで、事業所得と不動産所得の両方がある人については以下の2パターンが考えられます。
パターン1 事業所得+事業的規模の不動産所得
パターン2 事業所得+事業的規模以外の不動産所得
上記のパターンによって青色申告特別控除の適用額に変わりはあるのかということですが、結論から言えばどちらのパターンでも最大で65万円の適用を受けられます。
65万円の青色申告特別控除の適用を受けられる人は、「青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの」となっています。事業所得または事業的規模の不動産所得があれば65万円の適用が受けられるということです。
混乱しやすいのが、青色申告特別控除の適用順序です。不動産所得、事業所得の順に適用するとなっているので、もし不動産所得が事業的規模でない場合、それにつられて10万円の控除になる気がしますが、これはあくまで適用の順番の話です。適用を受けられる額自体は、事業所得または事業的規模の不動産所得のどちらかを有するということで決まります。
事業所得か不動産所得のいずれかのみの場合はそれほどややこしくありませんが、2つの所得を有する人は確定申告で注意しておく必要があります。
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 商業登記2024年10月4日合同会社の2種類の債権者保護手続きの違い
- 税務会計2024年10月1日居住者と非居住者の判定で「国内に住所を有する」と扱われる具体的なケース
- 商業登記2024年9月29日定款を公証役場で認証してもらうときの押印の方法
- 会社法2024年9月24日法人を任意清算する場合の財産処分方法とは?