コラム

疑似外国会社とは

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疑似外国会社とは?

会社法には、以下のように疑似外国会社の活動を制限する規定が設けられています。

会社法 第821条(疑似外国会社)
  1. 日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。
  2. 前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

外国会社とは、「外国の法令に準拠して設立された法人その他の外国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するもの」です。日本で外国会社の登記をしているかどうかは関係なく、海外で設立された会社であれば外国会社ということになります。

つまり疑似外国会社とは日本以外の国の法律に基づいて設立された会社でありながら、主に日本国内で事業を行っている会社のことです。日本で事業活動をしているにもかかわらず、海外で登記されているという理由で日本の法律が適用されない可能性があるといったことを回避するために設けられている規定が疑似外国会社の規制ということになります。

本来であれば外国会社は、日本で日本支社としての会社設立の登記または外国会社の登記を行わない限り日本国内で継続的な営業を行うことができません。疑似外国会社と日本で取引を行った場合、その取引が無効になることはありませんが、もし損害が発生すれば弁済義務があるほか、過料の対象にもなります。

ただし、疑似外国会社の規制の目的は最初から日本での脱法行為を目的とする会社なので、最初は海外でビジネスをしていた会社が次第に日本でのビジネスが拡大したといったケースは、結果的な話なので疑似外国会社に該当しません。

その他、以下のようなケースは疑似外国会社に該当しないという扱いになっています。

(ア) 日本における商品の販売又は役務の提供による売上げが当該外国会社の売上げの100%を占めるが、その取引商品若しくは原材料の相当部分を日本国外の取引先(当該外国会社の日本国外の関連会社を含む)から調達する場合又は役務の提供のために必要な行為の相当部分を日本国外において行う場合
(イ) 日本において、取引商品若しくはその原材料の100%を調達し、又は役務の提供のために必要な行為の100%を行うが、日本国外においても営業活動が行われる結果、日本国外における商品の販売又は役務の提供による売上げが当該外国会社の売上げのうち相当部分を占める場合
(ウ) 日本における商品の販売又は役務の提供による売上げが当該外国会社の売上げの100%を占めると同時に、日本国内において、その取引商品もしくは原材料の調達又は役務の提供のために必要な行為の100%が行われるが、その営業資金を調達するために、日本国外で借入れや社債の発行等を行う場合
(エ) 日本における商品の販売又は役務の提供による売上げが当該外国会社の売上げの100%を占めると同時に、日本国内において、その取引商品もしくは原材料の調達又は役務の提供のために必要な行為の100%が行われるが、日本国外において事業を行っている他の会社を実質的に支配しており、当該外国会社自身が日本国外で、事業を行っているものと評価することができる場合
(オ) 日本国外に役員が存在し、又は、日本国外で役員会が開催されている場合

疑似外国会社の「本店」の意味

日本に「本店」を置いている外国会社が疑似外国会社に該当するとなっていますが、この「本店」は日本で設立した会社の「本店」という意味ではなく、外国会社が外国で設立する際に本国で作成した定款などで定めた本店をいいます。つまりこの疑似外国会社の本店は日本で登記されている本店ではありません。日本で登記していないくせに、事業拠点は日本国内というケースが疑似外国会社に該当します。

海外の会社が日本でビジネスを行う場合の外国会社の登記については当事務所までお気軽にご相談ください!

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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