総社員の同意による退社には、退社する社員の同意も必要
合同会社の社員が退社する方法には法定退社と任意退社の2パターンがありますが、そのうち法定退社としては以下の事由が定められています。
一 定款で定めた事由の発生
二 総社員の同意
三 死亡
四 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
五 破産手続開始の決定
六 解散(前二号に掲げる事由によるものを除く。)
七 後見開始の審判を受けたこと
八 除名
このうち、最もよくあるのが、「総社員の同意」による退社です。
ここで、「総社員」には退社する社員も含まれるのかということがあります。結論から言えば、総社員には退社する社員も含まれます。もし含まれないとすると、AとBが社員の合同会社で、Aの一存でBを退社させることができるようになってしまい、「除名」という制度が不要になります。
結局、総社員の同意による退社とは、退社したい社員とその他の社員の間での合同会社の経営をするという全員の共同契約の一部解除ということになります。現実的にも総社員の同意の場面というのは、退社したい社員からの申し出、もしくは特定の社員を退社させたいその他社員から退社させたい社員への申し出という形になりますので、申し出を受けた側が承諾することで総社員の同意が成立するということになります。
もちろん総社員の同意による退社の場合も、持分の払い戻しが発生しますので、場合によっては減資の登記が必要となります。
ちなみに、総社員の同意による退社であればもちろん6か月の予告期間も不要です。総社員が同意している以上、あえて予告期間を設ける必要はないからです。
定款に定めれば、総社員ではなく社員の一部の同意でも退社させることができる
総社員の同意のほかに、定款の定めにより例えば社員の過半数の同意や、代表社員の指定といった事由で特定の社員を退社させることもできます。これは総社員の同意の要件を軽減しているわけではなく、「定款で定めた事由の発生」に基づく退社となります。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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