外国会社が発起人になる場合に必要な書類
今では海外在住の人が日本で会社を設立するということも多くなりました。当事務所でも海外在住の方の会社設立を100社以上サポートしてきました。
また、最近では海外で登記されている会社が出資して日本で会社を設立したいといった依頼も増えてきました。
いわゆる外国会社が日本で出資して株式会社を設立する場合について必要な書類はどういったものがあるのかとまとめてみました。
株式会社の設立において、出資者の立場として必要になる書類はすべて公証役場での定款認証のためです。日本で登記されている会社であれば、定款認証に必要となる書類は、履歴事項全部証明書と会社の印鑑証明書(いずれも法務局発行)が1通ずつです。
履歴事項全部証明書に該当する書類
履歴事項全部証明書で会社が存在していることや、その事業目的が新たに出資する会社と関連性があることを確認し、印鑑証明書で定款に押印された印が確かに代表取締役の権限に基づいて作成されたことを証明します。
外国会社だからといって、この流れが変わるわけではありません。外国会社でも本国では登記されているはずであり、日本の履歴事項全部証明書に該当するもの、つまり会社の存在を公的に証明した書類は入手できるはずです。国によって呼び方や様式は異なりますが、何かしらの履歴事項全部証明書に対応するものを準備する形になります。
日本の法務局で取得できるような登記事項証明書がない、または準備に時間がかかるといった場合には、外国会社の代表者がその会社の存在について現地の公証人などに口述して認証してもらった宣誓供述書で代用することもできます。参考までに、中国では法務局で発行できる登記事項証明書に該当する書類がないため、営業許可証について中国の公証人が内容を認証したものを以てこうした書類の代わりにしています。
印鑑証明書に該当する書類
次に印鑑証明書に対応する書類です。外国では、日本の印鑑登録制度のようなものはないため、サイン証明書や公証人作成の印鑑証明書(参考までに中国では声明書と呼ばれています)などで代用します。
もし代表取締役になるのであれば、個人のサイン証明書が必要になりますが、日本の会社の発起人になる外国会社の代表者の立場であれば、個人のサイン証明書ではなく外国会社の代表者としてのサイン証明書(または印鑑証明書)が必要となります。日本の会社でも発起人となる場合は代表者個人の市区町村発行の印鑑証明書ではなく、法務局発行の印鑑証明書が必要となりますが、それと同じ意味合いです。
いずれも外国の言語で記載されている場合は訳文が必要です。訳文を作成する人に制限はないため、代表者以外の人(例えば日本の司法書士や弁護士など)でも問題ありません。
いずれも上記は日本の公証役場で認証するために必要な書類です。それ以外に、そもそも外国の会社に出資することについて本国法などで制限がある場合は、その点は本国側でクリアしておく必要があります。
外国会社が発起人となって日本で会社設立したいという場合は当事務所までお気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 会社法2024年11月20日合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制
- 税務会計2024年11月18日車両を会社で固定資産で計上する際の車検証の名義
- 商業登記2024年11月15日定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由
- 税務会計2024年11月13日株式の譲渡所得の確定申告とふるさと納税の現限度額の関係