会社継続と法人税申告の関係
一度会社を解散したけどやはり経営を続けていくことになると、「会社継続」の手続きを行います。
具体的には、いったん行った解散の登記をなかったことにするために、会社継続の登記を申請します。
会社継続については、解散後に以下の手続きを経ることで実行できます。
株式会社 | 株主総会の特別決議 |
合同会社 | 社員の全部または一部の同意(同意しなかった社員は退社する) |
登記手続きだけを見れば、上記のプロセスを踏んでおけば問題ないのですが、一点注意しておくことがあります。それが法人税申告です。
会社を解散した場合は、解散日で一度法人税の申告を行わなければいけません。
法人税法(事業年度の特例)
第14条 次の各号に掲げる事実が生じた場合には、その事実が生じた法人の事業年度は、前条第一項の規定にかかわらず、当該各号に定める日に終了し、これに続く事業年度は、第二号又は第五号に掲げる事実が生じた場合を除き、同日の翌日から開始するものとする。 1 内国法人が事業年度の中途において解散(合併による解散を除く。)をしたこと その解散の日
2 法人が事業年度の中途において合併により解散したこと その合併の日の前日
(中略)
6 清算中の内国法人が事業年度の中途において継続したこと その継続の日の前日 |
解散をすると、その日にいったん事業年度が終了したものとされるため、定款などで定めている事業年度にかかわらず、解散した日においていったん法人税の申告を行わなければならないということになります。
さらに会社を継続した場合は、その継続日の前日でもいったん事業年度が終了することになります。
このように解散から会社継続をした場合は、何度も法人税の申告を行わなければならないということになってしまいます。
例を挙げると、1月1日から12月31日が事業年度の会社が9月30日に解散して、11月1日に会社継続の決議をした場合を考えてみます。
この場合、まずは解散日でいったん事業年度が終了し、会社継続の前日でさらに事業年度が終了します。
そのため、
1回目:1月1日~9月30日
2回目:10月1日~10月31日
3回目:11月1日~12月31日
つまり、1年間に計3回も法人税申告しなければならないということになります。
会社継続をする場合は登記だけではなく、こうした事業年度の終了に伴う法人税申告についても注意しておかなければいけません。
事業年度の変更を会社継続と合わせて行うことで申告時期を先延ばしにできる
解散からの会社継続で3回も法人税の申告を行わなければならないというのはさすがに手間もコストもかかります。
そのため、一つの対策として会社継続と合わせて事業年度の変更を行うことがあります。上記の例では、11月1日の会社継続と合わせて、事業年度の終了日を10月31日に変更することで少なくとも3回目の申告は1年間先延ばしできます。事業年度の変更の決議は、会社継続の株主総会決議(株式会社の場合)や、社員の同意集め(合同会社の場合)の際に合わせて決めておくとスムーズでしょう。
当事務所でも解散からの会社継続、法人税申告までワンストップでサポートできます。お気軽にご相談ください!
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 会社法2024年11月20日合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制
- 税務会計2024年11月18日車両を会社で固定資産で計上する際の車検証の名義
- 商業登記2024年11月15日定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由
- 税務会計2024年11月13日株式の譲渡所得の確定申告とふるさと納税の現限度額の関係