コラム

居住者と非居住者の判定で「国内に住所を有する」と扱われる具体的なケース

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税法においては、国内に住所を有するか否かは,客観的事実により判定するとととされています。

民法
(住所)
第22条 各人の生活の本拠をその者の住所とする。
(居所)
第23条 住所が知れない場合には、居所を住所とみなす。
2 日本に住所を有しない者は、その者が日本人又は外国人のいずれであるかを問わず、日本における居所をその者の住所とみなす。ただし、準拠法を定める法律に従いその者の住所地法によるべき場合は、この限りでない。

住所とは「生活の本拠」をいい、生活の本拠かどうかについて客観的な事実で判断するということです。「生活の本拠」なので、例えば日本に住んでいた人が日本に住民票を残したまま海外に生活拠点を移した場合、日本に住民票があるといっても客観的には海外暮らしなので、海外が生活の本拠となります。

しかし、一概に客観的事実といっても判断に迷うこともありますので、国内又は国外に居住することとなった場合,その者が日本に「住所」を有するか否か、つまり生活の本拠がどこにあるかの判定については,推定規定が設けられています。

日本国内に住所を有する者と推定する場合

日本国内に居住することとなった個人が,次のいずれかに該当する場合には,日本国内に住所を有する者と推定されます。
1)日本国内において,継続して1年以上居住が必要とする職業に就くこと
この場合,国内において個人事業主になる、又は就職するため国内に居住することとなった者は,国内における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き,日本国内において継続して1年以上居住することを通常・必要とする職業を有する人として取り扱われます。

2) 日本の国籍を有し,かつ,日本国内において生計をーにする配偶者その他親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状
況に照らし,国内において継続して1年以上居住するものと推測するに足
りる事実があること。

日本国内に住所を有しない者と推定する場合

日本国外に居住することとなった個人が,次のいずれかに該当する場合には,日本国内に住所を有しない者と推定されます。
1)国外において,継続して1年以上居住することを通常必要とする職業を
有すること。
この場合,国外において個人事業主になる、又は就職するため国外に居住することとなった者は,国外における在留期間が契約等によりあらかじめ1年未満であることが明らかであると認められる場合を除き, 日本国外において継続して1年以上居住することを通常・必要とする職業を有する人として取り扱われます。

2) 外国の国籍を有し又は外国の法令によりその外国に永住する許可を受け
ており,かつ,国内において生計をーにする配偶者その他の親族を有しな
いことその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし,
再び日本国内に帰って,主として日本国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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