コラム

外国会社の登記の2パータン。営業所の有無で変わる

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日本に営業所がなくても外国会社の登記は必要

海外で登記された会社、いわゆる外国会社については、日本で登記するケースとして以下のように定められています。

会社法

外国会社の日本における代表者

第817条
  1. 外国会社は、日本において取引を継続してしようとするときは、日本における代表者を定めなければならない。この場合において、その日本における代表者のうち1人以上は、日本に住所を有する者でなければならない。

このように、外国会社については特に営業所を日本に設置しているかどうかは関係なく、日本で取引を継続しているかどうかの点だけで登記の必要性が決まります。

実は2002年までは外国会社には日本での営業所設置義務がありました。しかし、商法改正によって外国会社の営業所設置義務がなくなり、日本での取引の有無だけが登記するかどうかの判断基準になりました。これは、日本に営業所がなくてもオンラインで日本の顧客相手に展開できるビジネスが増えたためです。

例えば、日本に営業所を設置していなくても、外国に会社を設立してオンラインで日本の企業や個人を相手にコンサルティングや情報提供サービスなどを行っている場合は日本での外国会社の登記が必要となります。

営業所の有無によって変わる登記手続き

外国会社が日本に営業所を設置してもしなくても、日本で継続的に取引を行う場合には外国会社の登記が必要になります。

それでは、営業所を設置するかしないかでどのように変わるのでしょうか?

まず登記については登記申請する法務局と登録免許税が変わります。

日本に営業所がある場合 日本に営業所がない場合
登記申請する場所 営業所の所在地 日本における代表者の住所地
登録免許税 9万円 6万円

上記のように営業所の有無で登記申請の場所や登録免許税に違いがあります。

また、営業所がない場合で、もし日本における代表者が複数人いる場合には、その住所地ごとに登記が必要となります。例えば東京と大阪にそれぞれ日本における代表者が住んでいる場合は東京と大阪の2か所登記が必要になるということです。

営業所の有無によって変わる税法上の扱い

上記は登記手続きに関する違いですが、税法でも大きな違いがあります。そもそも日本における代表者は取引の安全性の面から会社法で定められたものであり、日本における代表者がいるからといって、即恒久的施設(PE)として扱われるというわけではありません。しかし、日本での営業所を設置したということは、「非居住者又は外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所」として扱われて、日本での法人税課税の対象になる可能性があります。

そのため、日本に営業所がある場合はPEに該当するかどうかを税理士に相談のして申告の必要性をしっかりと確認しておく必要があります。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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