合同会社の定款で別段の定めができる内容
合同会社では幅広い定款自治、つまり定款の規定による社員相互間の取り決めが認められます。株式会社に比べてクローズドな会社形態である合同会社では一定の事項を会社法で規定したうえで、その規定について定款に別段の定めを置くことで自由な会社の制度設計ができるというスタイルを取っています。いわば定款の相対的記載事項が株式会社に比べて幅広いといえます。
以下が合同会社で認められている定款に別段の定めができる事項の一覧です。(一部合名会社、合資会社にのみ規定できる内容も含まれています。)
種類 | 項目 |
代表社員の決め方に関する定め | 代表社員の指名又は互選に関する定め(法599条3項) |
業務の決定方法に関する定め | 社員又は業務執行社員が2人以上ある場合における業務の決定方法の定め(法590条2項,591条1項) |
定款の変更を,総社員の同意という要件以外の要件で決定する旨の定め(法637条) | |
支配人の選解任を,社員の過半数という要件以外の要件で決定する旨の定め(法591条2項) | |
業務執行社員に関する定め | 業務執行社員の指名又は選任方法に関する定め(法590条1項) |
定款で定めた業務執行社員の辞任又は解任の要件に関する定め(法591条6項) | |
業務執行社員の報酬請求権に関する定め(法593条4項) | |
業務執行社員の報告義務に関する定め(法593条5項.3項) | |
業務執行社員が職務上受領した物の引渡義務,自ら消費した場合の取扱い, 費用前払請求権・償還請求権に関する定め(法593条5項・4項) | |
業務執行社員の競業行為・利益相反行為に関する定め(法594条1項,595条1項) | |
社員の地位の得喪に関する定め | 持分の譲渡の要件に関する定め(法585条4項) |
社員の予告退社権に関する定め(法606条2項) | |
社員の法定退社事由に関する定め(法607条1項1号) | |
相続又は合併の場合における一般承継人の持分承継に関する定め(法608条1項) | |
各社員の権利義務に関する定め | 会社の業務及び財産状況の調査権に関する定め(法592条2項) |
計算書類の閲覧謄写権に関する定め(法618条2項) | |
利益の配当請求方法等に関する定め(法621条2項) | |
各社員の出資の価額に比例しない損益分配の割合に関する定め(法622条1項) | |
出資の払戻請求方法等に関する定め(法624条2項) | |
解散及び清算に関する定め | 会社の存続期間又は解散事由に関する定め(法641条1号・2号) |
清算人の指名又は互選に関する定め(法647条1項2号, 655条3項) | |
清算人の解任の要件に関する定め(法648条2項) | |
清算人が2人以上ある場合における業務の決定方法の定め(法650条2項) | |
残余財産の分配割合に関する定め(法666条) | |
合名会社又は合資会社が任意清算をする場合における会社財産の処分方法に関する定め(法668条1項) | |
清算人以外の者を帳簿資料の保存者とする旨の定め(法672条2項) |
上記の条文から、どの内容を定款に別段の定めとして設定するのかということについては専門家に相談しながら決めるとよいでしょう。
特に複数社員の合同会社を設立する場合は定款の記載が非常に重要になります。複数社員での合同会社設立などをお考えの方は当事務所までご相談ください!
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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