代表社員の役割とは?
合同会社では、基本的には社員、つまり出資者全員による共同経営ということになりますが、社員の中からさらに会社の業務を行うための業務執行社員を定めることができます。そして、さらに業務執行社員の中から代表社員を特別に定めることができます。
会社法 第599条(持分会社の代表)
業務を執行する社員は、持分会社を代表する。ただし、他に持分会社を代表する社員その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。
2 前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。
3 持分会社は、定款又は定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。 4 持分会社を代表する社員は、持分会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
5 前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
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会社法上「代表社員」という言葉は一度も出てきませんが、「持分会社を代表する者」を代表社員と呼んでいて、登記上も「代表社員」という言葉が使用されます。
代表社員の職務としては、「持分会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為」ということになっています。定款などで代表社員の権限について、社内的に何かしらの制限を加えることはできます。ただし、そうした制限を知らない社外の取引先などに対して、そうした制限があることを主張することはできません。
代表社員の選任の方法
代表社員の決め方については、以下の3通りがあります。
1)特に代表社員を定めない
2)定款に代表社員が誰か直接記載する
3)定款で互選の定めを設けたうえで、互選によって決める
1)のパターンでは代表社員を定めなければ各業務執行社員が代表社員となりますので、業務執行社員となった人が全員代表社員になります。この場合は、登記も業務執行社員として登記された人が全員代表社員としても登記されることになります。
2)は、定款の中に代表社員の住所や氏名を直接記載するパターンです。ただ、代表社員が変わるたびに定款の変更をする必要があります。(合同会社の代表社員はそれほど頻繁には変わらないと思いますが。)
3)は社員の互選によって決める旨を定款に定めた後で、社員の過半数の同意によって代表社員を定める方法です。定款には、以下のように記載しておきます。
「当会社の代表社員は1名以上とし、業務執行社員が2名以上あるときは、業務執行社員の中から社員の互選をもって定める。」
互選とは過半数の一致と思っておけば大丈夫です。「業務執行社員」と「社員」のどちらの互選で行うべきかといえば、条文上は社員の互選となっています。ただし、業務執行社員間の互選でも有効です。会社の代表者を決めるので、経営に参画しない社員にも互選の協議に加わる機会を与えたほうが良いと思えますが、大規模な合同会社であれば、業務執行社員間でもよいかもしれません。
いずれによって行うのかということは定款上で明記しておいたほうがよいでしょう。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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