原始定款とは?
株式会社を設立する際には公証役場で定款の認証を受けなければならないということは、これだけ会社設立が身近になった今となっては、もはや常識的といっても過言ではないでしょう。
そして、この会社設立段階で作成した定款を特に「原始定款」といいます。会社法では原始定款の扱いについて以下のように定められています。
(定款の作成)
第26条 株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。
(定款の認証)
第30条 第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。
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会社法上は、どこにも「原始定款」という言葉は出てきませんが、会社設立前に発起人が署名(または記名押印)した定款の最終版を原始定款と呼んでいます。この株式会社の原始定款を公証人が認証することで、定款の内容が有効になります。
原始定款の役割
原始定款は、もっぱら会社設立の登記のために作成されるものといってもよいでしょう。
例えば原始定款の例としてよく見るものには、以下のような条文が入っていることがあります。
第〇条 当会社の最初の事業年度は、当会社成立の日から2023年7月31日までとする。 |
これはあくまで第1期だけの話なので、2期目になれば削除してしまっても全く差し支えない条文です。
そしてこの条文を削除してしまえば、原始定款はもはや最新の定款ではない、ただの書類となります。株式会社の原始定款には公証人の署名が入るなど何やら仰々しい感じがするのですが、誤解を恐れずに言えば、いったん定款の条文に変更が入った以上は、原始定款は会社設立の際に使用した記念品のようなものです。
公証人の認証を受けた原始定款は、3万円~5万円といったそれなりの認証手数料を支払って認証してもらった書類で何やら高級な感じもするのですが、定款がアップデートされていけば、最新のアップデートされた定款こそがその会社の真の定款といえます。
定款はWordなどのデータ形式でアップデートした最新版を会社に保管しておく必要があります。そして、どこか1か所でもアップデートした以上は原始定款はその役目を終えたことになります。
もし認証を受けた原始定款の綴りを紛失したとしても焦る必要はありません。あくまで原始定款は会社設立のためのものです。紙を紛失しても、データ形式で最新版を保存しておけばよいだけのことです。もし会社設立の手続きを専門家に依頼したのであれば司法書士や行政書士などの専門家からデータを取り寄せて保存しておけば問題ありません。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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