青色申告を提出できる個人の範囲
青色申告の承認申請を提出することができる個人は以下の所得を有する人です。
・事業所得
・不動産所得
・山林所得
このうち、山林所得を有する人はそれほど人数がいませんので、一般的には青色申告といえば事業所得か不動産所得ということになります。
このうち、事業所得については以下に記載する要件を満たしておけば青色申告を行うこと自体に制限はありません。むしろ、やっている仕事が事業所得の規模なのか、本来は雑所得に該当するものなのかといった所得区分の判断が重要となります。
一方不動産所得については、事業的規模かどうかが重要となります。
不動産所得が事業的規模に該当するかどうかについてはいわゆる「5棟10室」基準で判断します。
- 賃貸物件の数:
- 5棟10室基準:一般的には、アパートやマンションの場合は「5棟以上」、または部屋数が「10室以上」の貸付けを行っている場合、事業的規模とされます。
- 一戸建ての場合:一戸建ての賃貸物件については、5棟以上で事業的規模と認められることが多いです。
具体的には以下のように判断します。
- アパート経営:
- 1つのアパートに10室以上の部屋がある場合、そのアパート1棟だけで事業的規模とみなされます。
- 5棟以上のアパートを所有している場合も、各棟の部屋数にかかわらず事業的規模とされます。
- 一戸建ての賃貸:
- 5棟以上の一戸建て住宅を賃貸している場合、事業的規模となります。
ただし、上記の形式的な基準に該当しなくても以下のような実質的な基準を満たすことで事業的規模と判断できる場合もあります。ただし、一般的には「5棟10室」基準によって事業的規模かどうかを判断します。
- 賃貸収入の規模:賃貸収入が相当額に達している場合も事業的規模とみなされることがあります。
- 管理の実態:管理が個人の手に余るほどの規模であるかどうか、専任の管理者がいるかどうかも判断材料となります。
- 貸付けの継続性・反復性:継続的かつ反復的に貸付けを行っているかも考慮されます。
事業的規模でもそうでなくても不動産所得の申告を青色申告によって行うことはできますが、事業的規模でない場合の青色申告特別控除は10万円となります。(事業的規模の場合は最大で65万円)
青色申告承認申請の要件
青色申告承認申請を行うには以下の要件を満たしておく必要があります。
- 適正な帳簿を備え付け、記帳していること: 青色申告を行うためには、複式簿記による適正な帳簿を備え付け、記帳する必要があります。これにより、正確な収入や支出を把握し、税務署に対して正確な申告を行うことが求められます。
- 青色申告承認申請書を提出していること: 青色申告を希望する場合、所轄税務署に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。この申請書は、新規開業の場合は開業から2ヶ月以内に提出する必要があります。また、既に事業を行っている場合は、その年の3月15日までに提出する必要があります。
- 継続的に帳簿を作成し、申告を行うこと: 青色申告は一度承認されても、その後も継続して適正な帳簿を作成し、期限内に確定申告を行うことが求められます。これを怠ると、青色申告の特典を受けられなくなる可能性があります。
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 会社法2024年11月20日合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制
- 税務会計2024年11月18日車両を会社で固定資産で計上する際の車検証の名義
- 商業登記2024年11月15日定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由
- 税務会計2024年11月13日株式の譲渡所得の確定申告とふるさと納税の現限度額の関係