合同会社では、新たな社員の加入をする際には、定款に特別の定めがなければ、総社員の同意が必要です。合同会社では、「社員の氏名又は名称及び住所」は必ず記載しなければならない事項、いわゆる絶対的記載事項になっていて、社員が加入する度に定款を変更する必要があります。
この点は、株式会社と異なる点です。もし、株式会社で出資者が変わるたびに定款を変更していたら、特に上場会社では、とんでもないことになってしまいます。株式は毎日売買されますし、株主も数千人、数万人ということもあります。しかし、合同会社は株式会社と違って、出資者も少人数で、クローズな会社形態です。そのため社員の住所や氏名を定款に記載することは、頻度という観点では、それほど難しいことではありません。
合同会社では、定款の変更は基本的には総社員の同意が要件です。しかし、定款に定めることによって要件を緩和することもできます。例えば、「定款の変更は代表社員が決定する。」「定款の変更は、総社員の〇分の1の同意により行う。」といった形の定めです。
結果的に、新たに出資を行うことで業務執行社員が加入するには、定款の変更が必要となります。合同会社では、社員になるためには1円以上の出資が必要だからです。
ここで、特段の定めがなければ定款の変更には総社員の同意が必要なので、業務執行社員の加入も総社員の同意が必要です。ただし、定款に先ほど書いたような定めがあれば、代表社員の一存や総社員の一部などの決議で加入も可能です。
業務執行社員が新たに加入すれば、登記も必要となります。この業務執行社員の加入には、主に2つのパターンがあります。
1)新たに出資をして加入するパターン
2)既存の社員から持分を譲り受けて加入するパターン
2)については、資本金などの額に変動はありません。ちょうど、株式会社で、既存株主が株式を譲渡するようなイメージです。この場合は、新たな業務執行社員の加入の登記だけを行えば問題ありません。
対して、1)の場合は、出資により新たに資本金が増える場合があります。しかし、合同会社では出資金を必ずしも資本金に入れなくてもよいということになっています。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)
そのため、もし資本金が変動するならば、業務執行社員の加入の登記+資本金の変更登記が必要になりますが、資本金を変動させない場合には、2)と同じように新たな業務執行社員の加入の登記だけを行うことになります。
もし、資本金を変動させるなら、税金にも絡んでくる問題になります。どのような形で業務執行社員を加入させるのがよいのかということについて、当事務所であれば手続き面だけでなく、税金面からもアドバイスが可能です。合同会社の登記で迷った場合はぜひご相談ください!
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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