未成年者も発起人になれる
未成年者、つまり18歳未満の者でも法定代理人の同意を得れば発起人として新たに設立する株式会社に出資することは可能です。
未成年者については、民法上以下のように規定されています。
(未成年者の法律行為)
民法 第5条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
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法律行為とは、出資をするとか取締役に就任するなど、何かしらの権利を発生させたりする行為です。
このように、未成年の場合は出資して株主になる場合には法定代理人(親権者や未成年後見人)の同意があれば出資することが可能です。
未成年者が発起人になる場合の定款の記載
未成年者が発起人になる場合には、定款の記載方法も若干変わってきます。
未成年者が発起人になるパターンとしては、主に以下の3パターンが考えられます。
1)未成年者と親権者が発起人になる
2)未成年者と親権者以外の者が発起人になる
3)未成年者だけで発起人になる
定款の記載の上では、このパターンは親権者が発起人になるかどうかで分けることができます。
発起人に親権者が含まれている場合
発起人 ○○○○(未成年者の氏名)
発起人 xxxx(父の氏名) 発起人 △△△△(母の氏名) |
発起人に親権者が含まれていない場合
発起人 ○○○○(未成年者の氏名)の法定代理人兼親権者父△△△△
法定代理人兼親権者母×××× |
それぞれのパターンに応じて、定款末尾が以下のようになります。
未成年者が株主の場合の実質的支配者は誰になる?
株の保有などを通じて、その会社を実質的に支配しているひとを実質的支配者と言います。
具体的には、「株式会社の実質的支配者とは株式会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は他の法人を通して間接的に保有している自然人(国、地方公共団体、人格のない社団又は財団、上場会社等及びその子会社を含む)」のことをいいます。
実質的支配者になりうる上場会社には海外で上場している会社も含まれます。
未成年者が発起人となる場合、この実質的支配者が誰になるのかということですが、一口に未成年者といっても、17歳と10歳では意思能力に差があります。
民法等の法令により遺言が作成可能な(意思能力があるとされる)年齢及び印鑑登録ができる年齢は15歳以上としているところから、実務的には15歳を基準に実質的支配者を判断しています。
15歳以上であれば実質的支配者は未成年者本人であり、15歳未満であれば実質的支配者は親権者ということになります。例えば、10歳の未成年者が100%株主だったとしても、実質的支配者は親権者ということになります。
ただ、実質的支配者は議決権などの権利を実質的に握っている人ということであり、例えば株式の資産価値が帰属する人は誰なのかといった観点で言えば、株式は未成年者の子自身の資産ということになります。
当事務所では、未成年者が株主、発起人になる場合の手続きも対応しています。お気軽にご相談ください。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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