合同会社は一般的には株式会社に比べてクローズドな会社と言われています。合同会社では所有と経営が分離しておらず、出資者イコール経営者ということになります。社員とは別に業務執行社員を設定することで、業務執行社員以外の社員を業務を執行しない社員というポジションにすることは可能ですが、これも経営にタッチしないというよりは株式会社でいうところの非業務執行取締役のような位置づけになるということです。
このように、出資=経営という形になっているため一般的に合同会社では不特定多数からの出資を集めることは難しいのは事実です。会社法上の位置づけからすれば、不特定多数の人から出資を集めることは合同会社では向かない制度設計になっています。
ただ、合同会社でも、多くの人から出資を募ることは可能です。場合によっては株式会社よりも合同会社のほうが向いているかもしれません。そもそも「不特定多数」の意味合いという問題になるかもしれませんが、合同会社は上場して「不特定多数」の人から出資を集めるということはもちろんできません。ただ、例えば紹介制で、社員からの紹介であれば出資を受け入れるというスタイルも可能となります。結局のところ合同会社で出資を集める際の「不特定多数」の意味合いは、「人数に上限は決めないけど人的関係に基づいて集まった出資者」といった感じになるかと思います。
このようなスキームで出資を募って、集めた出資で投資をしてその利益を各社員に配当するというスキームで多額の出資金を集めた合同会社がありました。その会社自体は運営に問題があり、被害者の会が作られるなどの事象が発生しています。ここでその件は語りませんが、このようなケースは運営に問題があったのであり、合同会社が多数の人から資金を集めるスタイルそのものが「悪」というわけではありません。
株式会社ではなく、合同会社で出資を集めることのメリット・デメリットは以下のようなことが考えられます。
メリット
・出資を受ける都度登記をしなくてもよい
合同会社であれば出資を受けた金額を必ずしも資本金に計上する必要はありません。(株式会社では少なくとも50%は資本金計上が必要なので、出資を受ける都度登記が必要です。)
デメリット
・定款に別の定めをしない限り、剰余金の分配は出資の比率となる
会社法 第622条
損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。 |
・定款に別の定めをしない限り、新たに出資を受ける(社員を加入させる)には社員全員の同意が必要となる
・定款に別の定めをしない限り、定款変更などには社員全員の同意が必要となる
書いてみると数的にはデメリットの方が多いような気もするのですが、重要なポイントは「定款に別の定めをしない限り」という点です。合同会社では、多くの点で定款の定めで会社法上のルールを変更することが可能ですので、多数から出資を集めるスキームで合同会社を利用しようとする際は、定款の定めを会社法の許容範囲であるべき形にしておくことがマストと言えます。
当事務所では、合同会社で出資を集めるための定款の作成から、登記まで対応しています。お気軽にご相談ください!
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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