合同会社に「社員総会」は存在しない
株式会社では投資家の意思決定は株主総会で行います。それでは合同会社にも株式会社における株主総会のような合議体、いわば社員総会というものが存在しているのかといえば、合同会社には「社員総会」と呼ばれるイベントは通常存在しません。
そもそも「総会」とは何かということですが、「総会」とは、団体の構成員全体での会合をいいます。株主総会はその代表例ですが、それ以外にも一般社団法人では意思決定機関として「社員総会」が存在します。いずれも会合であり一定の欠席者は存在しますし、会議成立のために定足数というものも存在します。
それでは合同会社ではどうかというと、合同会社にはそもそも定足数という概念がありません。定款に別段の定めがなければ、すべての社員の同意または多数決によって会社の意思決定を行います。そのため、総会の成立のための定足数といった概念も存在せず、常に社員全員に確認したうえでの全員の同意や過半数の同意といった形で決議を行います。つまり合同会社では「社員全員参加」であり、総会のような会議体を定義する必要がありません。
合同会社の社員の意思決定は、どちらかというと数人が共同出資して事業を行うことを想定した民法上の組合に近いといえるでしょう。
もちろん、合同会社内で社員全員が集まる場のことを「社員総会」という名称で呼ぶこと自体は問題ありません。しかしそれは株主総会のように会社法で運営方法が定められた法定の会議体ではなく、あくまで社内ルールでそう呼んでいるだけということになります。ただ、社員総会というと一般社団法人で法定された「社員総会」と同じような位置づけだと混同するケースもあるかもしれないので、「全社員会」みたいに別に法定されたものではない呼称を使った方がよいかもしれませんね。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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