個人の消費税の納税義務の判定
個人が消費税の納税義務者(課税事業者)になるには、主な要件として2年前の売上(厳密には課税売上高)が1,000万円を超えているという要件があります。
インボイスの登録をすれば問答無用で課税事業者となりますので気にする必要はありませんが、インボイスの登録をしない場合は2年前の売上がいくらだったかということに気を付けておく必要があります。
ここで、気になるのが複数の所得区分がある場合の個人の消費税の納税義務の判定です。つまり、事業所得と不動産所得、雑所得のように複数の所得区分で収入がある場合です。
ここで重要なポイントは「事業として行っているかどうか」ということです。「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡、資産の貸付けおよび役務の提供を反復、継続、かつ、独立して行うことをいいます。
例えば会社から給与を受け取って労働を提供するということは独立して行うわけではないため「事業」に該当せず、会社員はどれだけ給与を受け取っても消費税の納税義務は発生しません。
複数の所得区分がある場合の消費税の納税義務の判定
この定義に従えば、事業所得だけではなく不動産の賃貸や原稿の執筆などは、もし事業所得に該当しなくても課税売上高に含める必要があります。(ただし、不動産の賃貸については住居用の場合は消費税が非課税なので含める必要はありません。店舗やオフィス、倉庫など居住用以外の場合に含める必要が出てきます。)そもそも所得の区分は所得税の計算上設けられた制度なので、個人単位で課税する消費税の計算上は関係ないということです。
そして、個人の場合、この課税売上高の合計額は、所得区分ごとではなく個人単位で判定されます。法人であればあらゆる事業を合計して売上高を構成して、その金額をもとに判定するわけなので、それと同じイメージです。
例えば、2年前の事業所得の売上高が990万円、事業に該当する雑所得の収入が150万円であれば合計で1,000万円を超えているので、消費税の課税事業者に該当します。
法人であれば決算書の数字で判断すればよいのですが、個人の場合は確定申告書上で所得区分が分かれているので、それぞれを合計して判定する必要がありますので注意しましょう。
なお、消費税の申告書は個人単位なので、所得区分が複数あっても消費税の申告書は1つにまとめることになります。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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