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非営利の一般社団法人とは?登記上満たすべき条件や課税範囲は?

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非営利の一般社団法人とは?

一般社団法人のうち、非営利性が徹底された法人については行う事業のうち、収益事業のみが課税されるということになっています。

まず初めに、この一般社団法人の非営利という状態は、何かの手続きによって認定を受けることで得られるものではなく、その法人の状況によって非営利かどうかが決まります。

非営利という考え方はその一般社団法人の法人税の計算上に用いられる概念ということになります。

非営利性のために満たすべき要件は以下の4つです。

1)親族同士の理事が総理時数の3分の1以下であること

2)定款に剰余金の分配を行わない旨の定めがあること

3)定款に解散時の残余財産が国、地方公共団体、他の公益社団法人、公益財団法人などに帰属する旨の定めがあること

4)2)、3)の定款の定めに違反したことがないこと

このうち、最も気を付けておく必要があるのが1)の要件です。

まずは3分の1を超えた人数が親族同士ではないということは最低でも3人の理事が必要ということになります。(理事会の設置までは求められていません。)

そして例えば理事A、理事B、理事Cがいた場合に、理事AとBが親族だった場合はすでにこの要件を満たせません。親族同士ではない理事がCだけとなり、理事の3分の1を超えた人数が親族同士ではないという要件を満たせないからです。

理事が3人の場合は全員が親族同士ではないということが必要ということです。

2や3の要件については公証人の認証を受けた原始定款で要件を満たしていなかったとしても、社員の決議で定款の変更を行うことで満たすことも可能です。

非営利の要件を満たした場合の一般社団法人への課税

非営利の要件を満たした場合には、以下の34種類に該当する事業だけが収益事業として課税されることになります。

法人税法上の収益事業の一覧(34種類)

①物品販売業、 ②不動産販売業、 ③金銭貸付業、 ④物品貸付業、⑤不動産貸付業、 ⑥製造業、 ⑦通信業、 ⑧運送業、 ⑨倉庫業、 ⑩請負業、 ⑪印刷業、 ⑫出版業、 ⑬写真業、 ⑭席貸業、 ⑮旅館業、⑯料理店業その他の飲食店業、 ⑰周旋業、 ⑱代理業、 19仲立業、20問屋業、21鉱業、22土石採取業、 23浴場業、 24理容業、 25美容業、 26興行業、 27遊技所業、 28遊覧所業、 29医療保健業、 30洋裁、 和裁、 着物着付け、 編物、 手芸、 料理、 理容、 美容、 茶道、生花、 演劇、 演芸、 舞踊、 舞踏、 音楽、 絵画、 書道、 写真、 工芸、 デザイ ンな どの教授を行 う事業、 31駐車場業、 32信用保証業、 33その有する工業所有権等または著作権等の譲渡または提供を行う事業、 34労働者派遣業

ただ、これだけ列挙されても実際にどのような事業が収益事業として課税対象となるのかということが分かりにくいです。

具体的には、以下のような事業が収益事業として課税対象になり得ます。

法人が主催するイベントのパンフレットやホームページに協賛会社の広告を載せて、その対価をえること 請負業に該当して収益事業として課税
会費を徴収して、一般社団法人の会報などを配布すること 出版業に該当して収益事業として課税

この場合、法人単位での課税ではなく、事業単位で課税を判断することになります。

上記のような収益事業を行っている法人が、一方で寄付を受け入れたり、対価の給付を伴わない会費徴収をしたりする場合には、その寄付や会費は法人税の課税対象になりません。

例えば、少年スポーツクラブが一般社団法人化した場合、父母から集める会費や地元の企業などからの寄付については課税が行われません。(会費の対価として子にスポーツを教えるという考え方もありますが、この場合父母自身がその対価を得るわけではないので収益には該当しません。)一方、そのスポーツクラブが地元の祭りなどでイベントを開催して、そのイベントの収益が発生すれば、それは興行業として課税対象になるということです。

また、自治体によっては上記の非営利性の要件を満たし、かつ一切の収益事業を行っていない場合には均等割も課税しないというところもあります。その点は自治体に確認する必要があります。

このように、一般社団法人の非営利化については、登記と税務の両面から検討すべき事項がありますので、いずれにも詳しい専門家にそうだんすることをおすすめします。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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