コラム

合同会社における出資の払い戻しによる減資

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合同会社の出資の払い戻しとは?

合同会社での出資の払い戻しとは、社員が加入時または加入後の増資で出資した財産の払い戻しを受けることです。対象となるのは資本金と資本剰余金です。利益剰余金は、出資ではなく合同会社が稼いだ利益で構成されているため、出資の払い戻しの対象ではなく、持分の払い戻しとして扱われます。

合同会社での出資の払い戻しの限度額

合同会社では、出資は自分が出したお金とはいえ、いつでも払い戻しを受けられるわけではありません。

具体的には、合同会社は、出資の払い戻し額が以下の金額を超える場合には出資の払い戻しを拒むことができます。

1)出資の払い戻しの請求日における利益剰余金と資本剰余金の合計額、または当該社員が出資した資本剰余金額のいずれか少ない額

2)定款を変更して当該社員の出資額を減少させた場合の減少額

特に1)の規定が重要です。例えばAが100万円の出資の払い戻しを請求したとしても、合同会社のその日における利益剰余金と資本剰余金の額の合計額が90万円であれば、出資の払い戻しができるのは90万円までということになります。

株式会社の分配可能額ほど複雑ではないですが、しっかりと払い戻しの限度額は確認しておく必要があります。

出資払い戻しを行うための資本金の減少

上記の通りに出資の払い戻しの限度額が決められていますが、1)の基準で出資の払い戻しを請求した者について計上されている資本剰余金の額が80万円しかなかった場合、出資の払い戻し上限は80万円ということになります。そこで、この例では20万円分の資本金の減少を行って、その者の資本剰余金の額に振り替えることで、その者の出資の払い戻しを可能にすることができます。

この場合は、合同会社における資本金の減少ということになり、債権者保護手続きが必要となります。この場合の債権者保護手続きについては、合同会社での損失てん補のための減資と同じ流れになります。

資本金を資本剰余金に振り替えなくても上記の限度額の要件を満たしているのであれば、出資の払い戻しを行うためには資本剰余金の減少だけで済みますので、債権者保護手続きは不要ということになります。

出資の払い戻しをすれば定款変更も必要になる

出資を払い戻せば、定款に記載されている社員の出資額にも変動が生じます。そのため定款の変更手続きが必要となります。定款の変更については、別段の定めがない限り、総社員全員の同意が必要となります。また、定款変更に関する総社員の同意とは別に、資本金を減少させる場合には、業務執行社員の過半数の一致が必要となります。

また、持分の払い戻しのために資本金が減少すれば登記も必要となります。

登記の必要書類としては、以下の通りです。

1)定款の変更に関する総社員の同意書
2)業務執行社員の過半数の一致を証する書面
3)債権者保護手続きを行ったことが分かる書面
4)資本金の額の計上に関する証明書
5)司法書士に委任した場合は、委任状
です。

登録免許税は3万円(減資の額にかかわらず定額)です。

当事務所では、登記手続きだけでなく、債権者保護手続きについても代行を行っております。合同会社での減資手続きをお考えの方はぜひご相談ください!

 

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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