コラム

事業目的作成の際の「及び」と「並びに」の違いや使い分け

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「及び」と「並びに」の違いや使い分け

会社の事業目的でよく出てくる言葉が「及び」と「並びに」です。どちらも2つの言葉を並列するときに使います。例えば「製造及び販売」や「指導並びにコンサルティング」といった感じです。

しかしこの両者の意味としては全く同じですが、定款や契約書その他の法律関係の文章を作成する上では明確に使い分けが行われています。それは、最小の接続に「及び」を使用して、それ以外の接続には「並びに」を用いるということです。図にすると以下のようになります。

例えば、自ら商品の製造や販売を行いつつ、そうしたノウハウのコンサルティングを提供したいというような場合には以下のようになります。

「商品の製造及び販売並びに他社への商品製造や販売に関するコンサルティング」

ただ上記のように「並びに」を使用すると事業目的が長ったらしくなってしまうので、「並びに」を使用せずに2つの項に分割するのもよいでしょう。

 

「及び」が第一段階の並列で、そのうえでさらに大きな並列がある場合に「並びに」を使用します。つまり、「及び」が出てこなくて、「並びに」だけが出てくる事業目的はないということです。

もちろんこれは慣習的なものであり法律でこのようにすると定められているわけではないので、上記のような使い分けをしていないから無効ということにはなりません。ただし、「及び」と「並びに」にはこのような使い分けがあるのだということを知っておけば事業目的の例などを見たときに意味をとらえやすくなるでしょう。

ちなみに法律の場面では「及び」も「並びに」も漢字で表記します。「および」や「ならびに」とは表記しませんので注意しましょう。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

関連記事

新着コラム

  1. 租税条約は、国際的な所得や財産に関する二重課税を防止したり、租税回避を防ぐために締結される国家間の協...
  2. 日本では、所得税法上の「居住者」とは「日本国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上日本国内...
  3. 未成年者も発起人になれる未成年者、つまり18歳未満の者でも法定代理人の同意を得れば発起人とし...
  4. 青色申告をしている法人は欠損金(赤字)を10年にわたって繰り越すことが可能です。
  5. 合同会社では資本金を減少できるケースは以下の3つです。
ダウンロードはこちら