コラム

非公開株式を譲渡したときの会社と株主それぞれの手続き

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株式譲渡の際の会社側の手続き

株式会社で、とある株主が別の株主または第三者に株式を譲渡する場合には、どのような手続きが必要になるのでしょうか?

まず、株主が株式を譲渡しても株式会社の資本金や資本準備金には影響がありません。株式譲渡はあくまで個人の資産を売り買いしているだけで、会社にとってみれば新たに出資を受けているわけではないからです。

会社によっては定款に発起人の氏名や持ち株数が載っているかもしれませんが、これはあくまで発起人の立場としてのものです。定款に株主一覧を載せているわけではないので、発起人が株式を別の者に譲渡したとしても定款を変更する必要もありません。

しかし、多くの会社は全ての発行済み株式について譲渡制限株式である、いわば非公開会社です。非公開会社では、定款で株式の譲渡については株主総会などの承認を要する旨が記載されています。そのため、株式の譲渡について株主総会の承認決議が必要になります。ただし、「当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得する場合には、当会社が承認したものとみなす。」といった内容が譲渡制限株式の内容として定められていれば、要件を満たす相手への譲渡については、都度株主総会や取締役会の承認決議を行う必要はありません。

株式譲渡の際の株主側の手続き

会社が株式譲渡について承認を行うのは、閉鎖的な非公開会社において、素性の知れない第三者が株主として会社に関与するのを防ぐためです。

そのため、譲渡の方法についてまで会社が口を出すことはできません。株式はあくまで株主の個人資産であり、いくらで売却しようとその者の自由です。

譲渡する株主も譲り受ける者も個人であることを想定して、どのような税金がかかるかを考えてみましょう。タダで第三者に株式を譲渡した場合には、譲受人に贈与税がかかる場合があります。また、有償での譲渡であれば、譲渡人(既存株主)に所得税が課税される場合があります。

いずれの場合も重要なのは、その株式の時価です。非公開会社では、上場会社のように市場価格があるわけではないので、時価の算定が非常に重要です。時価は原則的に相続税の評価に用いる税務上の時価を用います。

株式の税務上の時価は、決算書の数字に加えて従業員数などの企業規模なども関わってきます。

会社としては、株主間の譲渡金額の設定に積極的に関与する必要はないかもしれませんが、例えば代表取締役が保有している株式を譲渡するようなケースでは、顧問税理士などに相談して時価を算定してもらうことをオススメします。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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