コラム

株式会社の取締役の退任パターン

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

取締役の退任パターンは主に5つ

株式会社の取締役と会社の関係は雇用ではなく、委任関係です。その委任関係が終了する、つまり取締役が退任する事由は本人からの申し出以外にもいくつかあります。主な取締役の退任事由は以下のとおりです。

1)辞任による退任
2)任期満了による退任
3)解任による退任
4)死亡による退任
5)資格喪失による退任

辞任

辞任は会社にその意思が到達した日に退任となります。辞任の登記には辞任届が必要なので、辞任する取締役は会社に対して辞任届を提出し、その辞任届を会社が受け取った日に退任となります。

任期満了

任期満了については、任期満了を迎える定時株主総会の日をもって退任(重任の場合を除く)となりますが、もし定時株主総会が開催されなかったとしても、本来開催される時期において退任の扱いとなります。

解任

解任は、会社が株主総会の決議によって取締役との委任関係を一方的に解除することです。雇用契約でいうのところの解雇のような感じです。この場合は、解任の決議が行われた日(決議において解任日が定められればその日)において退任することとなります。

死亡

死亡についてはもはや取締役の職務を遂行できるわけがないので、死亡日において退任となります。取締役の相続人が取締役の地位を自動で引き継ぐといったこともありません。

資格喪失

資格喪失については、会社法に定められる欠格事由に該当した場合に、その日に退任することになります。会社法では、取締役について以下のように欠格事由が定められています。人が法人になるということはあり得ないので、会社法その他の違反があった場合に退任ということになります。

・法人
・会社法その他の規定に違反して刑に処せられて、その執行を終えた日から2年を経過しない者など

成年被後見人、被保佐人については以前は欠格事由に該当していましたが、2019年に会社法が改正されて欠格事由から削除されました。

退任すれば、登記が必要

取締役の退任事由に該当した場合には、いずれにしても取締役の退任の登記が必要になります。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

関連記事

新着コラム

  1. 事業目的を定款に記載するときの「及び」と「並びに」の違い定款に事業目的を記載するときは、法律...
  2. 会社設立前に資本金を使えるケース会社の設立を決めてから会社設立を実際に登記申請するまでには一...
  3. 一人で出資して一人で代表取締役となっている会社は数多くあります。
  4. 合同会社に「社員総会」は存在しない株式会社では投資家の意思決定は株主総会で行います。
  5. 役員重任する際の株主総会のパターン株式会社では、取締役の任期は最長でも10年間と定められてい...
ダウンロードはこちら