コラム

定款などで決めた事業年度は変更できる

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事業年度とは?

事業年度とは、法人税の申告のための1つの期間をいいます。通常は1年間で設定します。会計のルールでは「会計期間」という言葉を使う場合もありますが、事業年度も会計期間も同じ意味ととらえて問題ありません。

事業年度は、会社によってさまざまですが、会社設立した月で決めて、そのままというケースが多いです。例えば、10月のどこかの日で設立した場合は、9月決算にするといった形です。事業年度は1年を超えることができないので、10月に設立した場合は、9月30日を決算日とすることが多いです。この場合の事業年度は10月1日から翌年9月30日ということになります。1年を超えなければ、事業年度は自由に設定できますので、10月に設立して、初回の決算は例えば6月末ということも可能です。

上場会社などでは3月末決算という会社が多いですが、中小企業では、会社設立をした日によって事業年度はさまざまということです。

事業年度を変更するには?

事業年度は会社設立のときに税理士と相談するなどして決めますが、一度決めた事業年度を変更することも可能です。事業年度の変更は、前倒しも後ろ倒しも可能です。ただ、事業年度は1年間なので、後ろ倒しにするのは、通常は会社設立した年度だけです。例えば10月設立の会社で、6月30日を決算日にしていたけど、会社設立後、事情が変わってやっぱり9月30日に変更したいといったケースです。

 

事業年度を変更するには2つの場合が考えられます。一つは、定款に事業年度が定められている場合、もう一つは定款に事業年度が定められていない場合です。

多くの会社では事業年度は定款に定めています。事業年度は定款の任意的記載事項ですが、株主の配当の時期に影響するなど株主にとっても事業年度は重要事項なので、定款で明確に定めておくケースが多いです。この場合は、事業年度を変更するにはまず定款の変更手続きが必要です。定款を変更するには、株主総会の特別決議が必要です。

事業年度が定款に定められていない場合には、事業年度の変更には株主総会を開かずに、取締役の過半数の同意(取締役会がある場合は取締役会の決議)で事業年度の変更が可能です。(多くの中小企業にあるような株主=経営者の場合では、定款に定めてあろうがなかろうが手続き的には関係がないかもしれませんが。)

いずれの場合でも、変更前の事業年度の末日を迎える前までに変更の決議をしておくことが必要です。事業年度の最終日を迎えた後日に遡って事業年度の変更の決議をするのは認められないということです。

事業年度を変更したら税務署などへの届け出も必要

事業年度を変更すれば、法人税や消費税などの申告期限も変わってきます。というより、事業年度を変更する目的は、そのほとんどが申告期限を変えることが目的といってもよいかもしれません。

事業年度が変更となれば、申告期限が変わるので税務署や地方自治体への申告期限の変更のための異動届出書という書類を提出する必要があります。せっかく事業年度を変更しても、税務署などに異動届出書を出しておかなければ水の泡です。

この場合、変更の決議自体は変更前の事業年度終了後に行わなければいけませんが、税務署などへの異動届出書は、変更前の事業年度終了後でも問題ありません。異動届出書は変更を届け出るための書類で、それをもって効力が発生するものではないからです。ただし、変更前の各種税金の申告期限前までには提出する必要があります。移動届出書には、株主総会議事録など、変更を証する書類のコピーの添付を求められますので、準備しておきましょう。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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