コラム

海外在住の人は個人事業・会社設立いずれで開業すべきか?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

海外在住の人について、海外にいながら日本でビジネスを行いたいといった相談が増えてきました。例えば日本の顧客向けの開発業務デザイン業務などBtoBビジネスや、海外商品の日本でのオンラインショップ運営といったBtoCビジネスです。

そこで決めなければならないのが日本で会社設立するか、海外で個人事業主として事業を開始するかということです。海外在住の間は、もし個人のままビジネスを行うのであれば基本的に日本側で課税が発生することはありません。非居住者については国内源泉所得だけ課税されますが、海外在住の場合は事業を行う上での日本での恒久的施設(事務所など)がある場合のみ日本側で所得税が課税されます。

ただし、日本国内で会社を設立した場合は、社長が海外在住だったとしても、その売り上げは日本で法人税の課税対象となります。

このため、海外在住の人が日本で売上を上げるようなビジネスを始める場合、以下のような選択肢が考えられます。

個人事業主の場合 日本国内に恒久的施設がない場合 居住している国で所得税課税
日本国内に恒久的施設がある場合 日本で所得税課税
日本国内で会社設立 日本で法人税課税
海外で会社設立 設立した国で法人税課税

いずれの選択肢をとるかということはビジネスのやりやすさや、どのくらいの収益が上がる見込みか、税金的にどの方法が一番得かということを念頭に選択することになります。

いずれにしても、会社を設立するのであれば日本国内で会社を設立したほうがよいでしょう。取引先としても、日本国内の会社のほうが絶対的に安心感があるためです。

また、ビジネスがどこまで立ち上がるか分からないといった場合には、ひとまず1年間ほど個人事業主として様子を見てから会社を設立するといったケースもあります。

結局のところ、タイトルの答えとしてはケースバイケースということになってしまいますが、いずれの方法を採るにしてもまずは行おうとするビジネスの収益性がどのくらいなのかで会社か個人かということを決める点では日本国内に住んでいるケースと変わりません。

当事務所でも、海外在住の社長が設立した日本法人の税務顧問を幅広くサポートしています。お気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

関連記事

新着コラム

  1. 合同会社では資本金を減少できるケースは以下の3つです。
  2. 株式会社が解散をする際には、その株式会社の定款を登記申請書類に添付する必要があります。
  3. 合同会社では、利益分配のほかに社員に対して払い戻す方法として、持分の払戻しと出資の払戻しがあります。
  4. 会社で社用車を固定資産として計上するには「車検証の名義が会社でなくてはいけない」ということが言われま...
  5. 定款のサンプルを見ていると、よくお金を表示する前に「金」という言葉が付いていることがあります。
ダウンロードはこちら