税理士・司法書士・社労士の渋田 貴正です。
先日の新聞で、株式会社の設立にあたって、定款認証をスマホやパソコンでも受けられるようにするように検討に入ったと書いてありました。
現状では株式会社の設立のため、公証役場に行って定款を受け取る必要がありますが、その手間を省くことで、会社設立をしやすくしようということらしいです。欧米に比べて低い開業率を高めるための施策の一つだそうです。
たしかに、公証役場に行かないで定款認証を受けられるのであれば、設立手続き自体は確かに短縮できそうです。(記事では現状の対面式だと公証役場での定款認証まで1週間程度かかるなんて書いてありましたが、さすがに今はそこまではかからないだろうなんて突っ込みたくなりますが。1週間なんて待たせるとほかの公証役場に依頼されてしまいますし。)
ただ、会社設立までの期間が短縮できれば、開業率があがるかといえば、そんなわけないですよね。どちらにしても会社設立にはお金がかかりますので「会社設立までの期間が短くなったから、俺は開業するぜ!」なんていう人もいないでしょうし、今まで会社設立までの期間が10日かかるから会社設立をやめるなんていうせっかち過ぎる人も見たことがないです。結局のところ、会社設立する人にとっては便利になるかもしれないですが、開業率の上昇にはそれほど寄与しないと思います。
それなら、起業にあたって、もっとお金を借りやすくするとか、もっと起業に思い至るまでの人を増やす必要があると思います。迷路があったとして、どれだけ近道を作っても、入口の門が重すぎて開けられなければ話になりません。そもそも、終身雇用などで会社に安住を求める方も多いという事情がある日本と、欧米で開業率を比較すること自体がどうなんだろうという疑問も持ってしまいました。
税理士・司法書士 渋田 貴正
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 会社法2024年11月20日合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制
- 税務会計2024年11月18日車両を会社で固定資産で計上する際の車検証の名義
- 商業登記2024年11月15日定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由
- 税務会計2024年11月13日株式の譲渡所得の確定申告とふるさと納税の現限度額の関係