税理士・司法書士・社労士の渋田 貴正です。
先日の新聞で、給与支給を電子マネーにすることを認めるよう提言があったとの記事がありました。
給与については、面白いことに、労基法上は手渡しが原則です。「通貨払いの原則」といいます。つまり「給与」などと書いてある茶封筒を渡すことが原則的なルールです。昭和のノスタルジーが好きな従業員でもない限り、こんなことされると小銭はたまるし、いちいち口座にいれるのも面倒だし、やりにくくて仕方ないですね。
「え?それなら振込みで受けているのは違法なの?」と思う人もいるかもしれませんが、振込みは従業員の同意を得れば認めます、ということになっています。同意と言っても、口座情報を教えてもらった時点で同意があったと考えられますので、いちいち同意をもらってなんて考える必要もないです。(話は変わりますが、給料の振込みの際に、振込手数料を引くのはNGです。振込手数料は会社負担となります。)
これを一歩進んで、電子マネーなどで支払うことを認めてくださいということらしいです。日本は現金大国と言われています。「一歩進んで」なんて言ってますが、外国に比べれば全然進んでいないということです。電子マネーで支払えば、そのまま買い物できたりするので、現金決済の割合も少なくなるだろうということです。確かに、電子マネーのチャージでもらえればATMに並ぶ必要もなくなりますし、非常に便利な気がします。
これに対して、厚労省は、電子マネーの安全性などを理由に渋っているみたいです。一部の企業では、従業員の同意を得て、仮想通貨など円以外での支払い方法を採っていますが、あくまでこれは例外ということになっています。
電子マネーも使ってみると、財布は軽いし、レジで小銭を探す必要もなくなるし、非常に便利です。今ではスーパー、コンビニ、さらには自販機まで使えるところも増えてきました。しかし、現金が安心という方も日本には多いのも事実。まずは電子マネーというものについての理解を進めることから必要ということでしょうか?
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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