会社の解散と清算
せっかく設立した会社も、さまざまな理由で解散することがあります。会社の解散とは、会社が消滅する事実のことをいいます。解散となる事由としては会社法で以下の7パターンがあります。
1. 定款で定めた存続期間の満了
2.定款で定めた解散の事由の発生
3.株主総会の特別決議による解散
4.合併により合併消滅会社となる場合
5.破産手続開始の決定
6.解散を命ずる裁判
7.休眠会社のみなし解散
このうち、最も多く発生しているのは、「3.株主総会の特別決議による解散」です。破産とまではいかないけれど、会社としてやっていけないといったケースで、株主総会で解散を決議して、そのまま清算まで行うということです。
解散すれば、そのまま会社が消滅するわけではありません。解散とは、その後営業活動を行わないというだけで、例えば未払いの債務(買掛金や借入金など)などがあれば支払う必要があります。そうして、全ての債務がなくなったあとに、残った資産を株主に分配(残余財産の分配)して、初めて清算結了となり、その旨の登記を行うことで法人格が消滅します。
解散と清算の流れ
以下が、最も多い株主総会の決議による解散から清算までの流れとなります。
1)株主総会の特別決議による解散の決議
2)解散の登記申請
3)債権者保護手続き(2か月間)
4)3)の満了後に、各債権者への弁済
5)残余財産の分配
6)清算結了のための株主総会による決算報告の承認
7)清算結了の登記申請
例えば、一人社長で株主総会なども時間をかけずにでき、社長がそのまま清算人(法定清算人)に就任するようなケースでも、債権者保護手続きには2か月間要します。そのため、解散を決めてから清算結了の登記が完了して会社の登記簿が閉鎖されるまでには、およそ3か月から4か月は見ておいたほうがよいでしょう。
債権者が多く、残余財産の分配に時間を要するといったケースではもっと時間がかかります。
解散後の事業年度
会社を解散・清算する上で、手続き面と同様に重要なのが解散日です。法人税では、解散日において一旦事業年度が終了し、その後は清算事務年度として、解散日以後1年ごとの期間が1年度となります。
例えば、3月決算の会社で、5月31日に解散した場合、4月1日~5月31日(解散日)で一旦事業年度が終了します。その後、毎年6月1日から5月31日が1つの年度(清算事務年度)となります。
一旦決算を行った後に、すぐ解散の決議を行うと、またすぐに法人税の申告が必要になってしまい、非常に手間がかかることになります。このように、解散日の決定は、税務上非常に重要なポイントです。
会社の解散・清算は、単に登記が終わればよいというわけではなく、法人税の申告も絡んできます。V-Spiritsグループでは、グループ内の税理士・司法書士が対応しますので、登記面と税務面の両方で、ワンストップでの対応が可能です。
やむを得ず、会社の解散や清算を行わなければならなくなったという場合には、V-Spiritsにご相談ください。
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 会社法2024年11月20日合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制
- 税務会計2024年11月18日車両を会社で固定資産で計上する際の車検証の名義
- 商業登記2024年11月15日定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由
- 税務会計2024年11月13日株式の譲渡所得の確定申告とふるさと納税の現限度額の関係