株式会社設立時は、原則として発起人名義の口座が必要
株式会社を設立するときは、出資金を発起人の口座に入金する必要があります。このときの払い込み先の口座には指定があります。
原則として、払込先は発起人名義の口座である必要があります。発起人が一人ならその者名義の口座ですし、発起人が複数いるのであれば、一人代表を決めてその発起人の口座にそれぞれの出資金を入金するか、それぞれの発起人名義の口座にそれぞれが入金するといった形です。
しかし、発起人名義の口座が用意できない場合はどうすればよいのでしょうか?例えば、海外在住の人が発起人となって会社を設立する場合です。海外在住の人は日本での銀行口座が作れません。もともと日本に住んでいて当時の口座が生きているというケースではその口座を使えばよいのですが、外国籍の人で日本に住んだことがないというケースでは、日本の銀行口座がないというケースもあります。
払い込み先として指定できるのは、日本の法律で設立された金融機関、または海外銀行の日本支店である必要があるので、海外の金融機関の海外支店は対象外です。(日本の銀行の海外支店、例えば三菱UFJ銀行シンガポール支店の口座などは払い込み先として指定できます。)
こういった場合に採れる手段として、代表取締役に出資金の受領を委任するという方法があります。もし代表取締役が日本で口座を持っている場合は、海外在住の発起人から、代表取締役に委任することで、代表取締役個人名義の口座に出資金を振り込めば、会社設立の登記申請の際にそれを出資金の払い込みとして扱ってもらえます。
委任状
神奈川県横浜市○○ 発起人○○は、口座名義人である上記代表取締役を代理人と定め、払込金の受領に係る権限を与えるものとする。 令和3年1月1日 東京都品川区○○ |
このような感じで委任状を作成することになります。とはいっても、このとき発起人として日本に口座を持っている人が一人でもいれば、このようなことをするまでもなく、その人の口座に入金すれば済む話ではありますが。
もし、発起人のみならず、代表取締役になる人も日本の銀行で口座を持っていなかったら?例えば発起人も代表取締役も外国籍の人でまったく日本で暮らしたことがないといったケースです。このようなケースはまれだとは思いますが、この場合は株式会社の設立はできません。出資金の払い込みを行うことができないからです。このような場合は、日本に口座を持っている協力者を探すといったことが必要になります。
と、ここまでいろいろと書いてきましたが、ここまでの話は、あくまで株式会社を設立する場合の話です。合同会社の設立の場合には、そもそも現金でのやり取りも認められるため、登記手続きも領収書で事足ります。>くわしくはこちら
株式会社の設立と違って、合同会社では出資金の払い込みについて、このような面倒なことは考える必要もありません。これは最初の出資者が外国籍の人でも同じです。
当事務所では、外国籍の方の日本での会社設立も数多く手掛けております。お気軽にご相談ください!
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この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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