海外在住の役員が海外で支払った社会保険料は社会保険料控除の対象にならない
海外在住の人が日本国内で会社設立するケースが多くなり、それに伴って海外で社会保険料を支払っている役員も多くなりました。
ここで、海外在住の役員が海外で支払った社会保険料を日本の所得税や住民税の計算上社会保険料控除の対象にできるのかという問題があります。
社会保険料控除については、以下のように定められています。
所得税法 第74条
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合又は給与から控除される場合には、その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
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この通り、「居住者」が支払った社会保険料のみが対象になるため非居住者期間中に支払った社会保険料については社会保険料控除の対象にはならないということになります。
つまり、海外在住の役員が非居住者に該当する場合は、その社会保険料を日本の所得税計算上控除できないというのが結論です。
外国の法律による社会保険料も社会保険料控除の対象にはならない
日本在住の外国人が本国の社会保険料を支払った場合にも、その社会保険料は社会保険料控除の対象とはなりません。社会保険料控除の対象となるのは、以下の社会保険料に限られるためです。
一 健康保険法の規定により被保険者として負担する健康保険の保険料
二 国民健康保険法の規定による国民健康保険の保険料又は地方税法の規定による国民健康保険税
二の二 高齢者の医療の確保に関する法律の規定による保険料
三 介護保険法の規定による介護保険の保険料
四 労働保険の保険料の徴収等に関する法律の規定により雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
五 国民年金法の規定により被保険者として負担する国民年金の保険料及び国民年金基金の加入員として負担する掛金
六 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
七 厚生年金保険法の規定により被保険者として負担する厚生年金保険の保険料
八 船員保険法の規定により被保険者として負担する船員保険の保険料
九 国家公務員共済組合法の規定による掛金
十 地方公務員等共済組合法の規定による掛金(特別掛金を含む。)
十一 私立学校教職員共済法の規定により加入者として負担する掛金
十二 恩給法第五十九条(恩給納金)(他の法律において準用する場合を含む。)の規定による納金
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いろいろ書いてありますが、簡単に言えば、日本の法律によって定められた社会保険料のみが対象ということです。
ただし、例外的に、国同士で租税条約を締結していて、その中で相手国の社会保険料控除の対象にできる旨が規定されている場合には、社会保険料控除の対象にすることができます。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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