実質的支配者リストとは?
会社設立の件数も年々増加し、株主が外国籍の人だったり、外国会社だったりするケースも多くなりました。当事務所でも外国の会社が出資した株式会社や合同会社の設立や、外国籍の人が代表者である会社の会社設立手続きを数多くサポートしてきました。
そんな中で、会社を設立した次のハードルとして挙げられるのが銀行口座の開設です。特に法人の代表者と株主が異なっているようなケースについては登記記録だけではその法人を実質的に保有している株主までは確認できません。金融機関としても株主が誰なのかということを確認することが必要な場面があります。そこで活用されるのが「実質的支配者リスト」です。
実質的支配者リストは、株式会社を対象に法務局が発行する書類で、その法人の実質的支配者が誰かということを証明したものです。これによって登記記録だけでは確認できない株式会社の株主を確認することができます。
実質的支配者とは?
株式会社の実質的支配者とは株式会社の議決権の総数の25%を超える議決権を直接又は他の法人を通して間接的に保有している自然人(国、地方公共団体、人格のない社団又は財団、上場会社等及びその子会社を含む)のことをいいます。
実質的支配者になりうる上場会社には海外で上場している会社も含まれます。
実質的支配者リストを発行するために必要なもの
法務局での実質的支配者リストの認証を受けるためには以下の書類を準備することが必要です。
1)認証を受けようとする実質的支配者リスト本体
2)所定の様式の申出書
3)以下のいずれか
・申出日における株主名簿の写し
・公証人が発行した申告受理及び認証証明書(1期目に実質的支配者リストの認証を受ける場合のみ有効)
・法人税申告書の別表2
・上記書類の作成後、株主に異動があった場合は、その理由書
4)代表者の本人確認書類(運転免許証コピー、住民票コピー、マイナンバーカードのコピーなど)
提出する法務局は本店所在地を管轄する法務局となります。
また発行に係る費用は無料です。
実質的支配者リストが必要となる場面
実質的支配者リストは、主に金融機関の口座開設において必要となります。ただし、すべての株式会社について求められるわけではなく、例えば海外在住の代表者がいる場合など、その会社の株主として外国資本が入っている可能性があるケースや、代表者の経歴からして別の株主の存在が考えられるケースなどで求められることがあるようです。
必ず必要になる書類ではないので、金融機関などから要求されたタイミングで取得すればよいでしょう。
当事務所では実質的支配者リストの発行手続きの代行を行っています。急ぎで発行が必要なケースなどがありましたらお問い合わせください。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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