本人確認書類とは?
取締役を設置しない会社では取締役や監査役に就任する際には、その登記の際に就任承諾書に就任者が実印を押印して、印鑑証明書を添付する必要があります。
一方で、取締役会設置会社であれば、取締役や監査役の就任の登記の際に印鑑証明書の添付は不要ですし、就任承諾書への実印の押印も不要です。
しかし、その場合、やろうと思えば架空の人物を登記することもできてしまいますし、氏名などが誤って登記されてしまう可能性もあります。さすがにこれは極端な話ですが、いずれにしても株式会社の役員として登記される以上、その人の本人確認は必要です。そこで、印鑑証明書の添付が必要ない役員の就任の際には、その代わりに「本人確認書類」を登記申請の際に添付することになります。
本人確認書類の種類
登記で使用できる本人確認書類としては、「氏名及び住所と同一の氏名及び住所が記載されている市区町村長その他の公務員が職務上作成した証明書」となっていますが、具体的には以下のような書類が該当します。
証明書の種類 | 備考 |
住民票の写し(個人番号が記載されていないもの) | 住所のある自治体の役所で取得(マイナンバーカードがあればコンビニでの取得も可能) |
戸籍の附票 | 本籍地のある自治体の役所で取得 |
運転免許証(両面)のコピー | 有効期限内のもの |
運転経歴証明書(両面)のコピー | 有効期限内のもの |
在留カード(両面)のコピー | 有効期限内のもの |
特別永住者証明書(両面)のコピー | 有効期限内のもの |
マイナンバーカード(表面のみ)のコピー | マイナンバーが載っている面はコピー不要。マイナンバー通知カードは使用不可。 |
「住所や氏名が記載されている」というのは、あらかじめ記載されていることが必要です。そのため、あらかじめ住所が記載されていない健康保険証やパスポートについては本人確認書類としては使用できないということになります。
それぞれの書類のついてコピーで提出する場合には、コピーの余白に「原本と相違ない」と記載して、本人が署名する必要があります。(押印は不要です。)
なお、本人の印鑑証明書を添付した場合には本人確認書類の添付は不要となります。取締役会設置会社でない株式会社で役員が就任する場合には本人の印鑑証明書が必要となりますので、その場合は別途本人確認書類の提出は不要です。
取締役会設置会社では、代表取締役以外の就任は印鑑証明書の添付は不要です。この場合でも印鑑証明書を添付して通常の取締役の就任承諾書に実印を押印することも認められますが、本人確認書類のほうが手軽なので、このケースでは本人確認書類の添付を行うのが一般的です。
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 商業登記2024年10月4日合同会社の2種類の債権者保護手続きの違い
- 税務会計2024年10月1日居住者と非居住者の判定で「国内に住所を有する」と扱われる具体的なケース
- 商業登記2024年9月29日定款を公証役場で認証してもらうときの押印の方法
- 会社法2024年9月24日法人を任意清算する場合の財産処分方法とは?