コラム

役員の責任一部免除に関する登記

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定款の定めによる役員の責任一部免除

役員の責任の免除については、総株主の同意や株主総会の特別決議のほかに、定款の定めによる一部免除があります。

定款の定めによる責任の一部免除については、2つの種類があります。

一つは、取締役の過半数の同意(または取締役会の決議)による免除、もう一つが社外役員と締結する責任限定契約です。いずれも定款にその旨を記載する必要があり、またその内容は登記することが必要です。

定款の定めの例

役員の責任の一部免除に関する定款の記載例は以下の通りです。定款に設けた内容で、そのまま登記も申請することになります。具体的な責任限定契約の締結については対象となる役員と別途行うことになります。

取締役の過半数の同意(または取締役会の決議)による場合

「当会社は、会社法426条1項の規定により、取締役の過半数の同意(取締役会の決議)によって、取締役、監査役又は会計監査人の負う会社法423条1項の責任を法令の限度において免除することができる」

責任限定契約による場合

「当会社は、会社法427条1項の規定により、非業務執行取締役等との間に、会社法423条1項の責任を限定する契約を締結することができる。ただし、当該契約に基づく責任の限度額は、〇円以上であらかじめ定めた金額又は法令が規定する額のいずれか高い額とする」

責任限定契約については、「あらかじめ定めた金額」が責任の上限となります。定款で責任の限度を〇円以上と定めておいて、具体的な金額は別途、取締役の過半数の同意や取締役会の決議で定めることになります。あらかじめ具体的に定めた金額自体は登記はされず、責任限定契約の規定がある旨だけが登記されることになります。

いずれの場合も、法令で規定している額というは、会社法で定める最低責任限度額をいいます。

役職 最低責任限度額
代表取締役又は代表執行役 1年間の報酬額×6
取締役又は執行役(社外を除く) 1年間の報酬額×4
社外取締役、会計参与、監査役、会計監査人 1年間の報酬額×2

 

取締役の過半数の同意
(または取締役会の決議)
責任限定契約
対象となる役員 全役員 社外取締役、会計参与、社外監査役又は会計監査人で責任限定契約を締結した者
機関に関する条件 監査役設置会社又は委員会設置会社であること

取締役が2名以上いること

制限なし
効果 損害発生後に事後的に一部の免除が可能 損害の発生時に免責額の範囲で当然に免責される
免責後の役員等の責任額の上限 最低責任限度額まで 最低責任限度額と定款で定めた額の範囲であらかじめ株式会社が定めた額

登記においては、定款の定めがそのまま登記することになります。定款にこれらの定めを設けた場合は、漏れなく登記を行いましょう。また、取締役の過半数の同意による免除の規定については、委員会設置会社または監査役設置会社であることが要件なので、例えば監査役が退任して監査役非設置会社になった場合には、この定款の規定も効力を失い、責任の一部免除の登記も同時に抹消する必要があります。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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