コラム

資本準備金を減少することはできる?どのような手続きが必要?

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資本準備金を計上するメリット

株式会社では、増資額のうち50%までは資本金ではなく資本準備金への計上が可能です。資本準備金を計上するメリットとしては、増資段階では以下のようなことが考えられます。

1)資本金を少なくすることで、税務上のメリットを得ることができる
2)登記は資本金しか行われないため、登記の際に登録免許税を少なくできる(増資登記の登録免許税は増加する資本金の0.7%)

増資を行う場合には、基本的には50%は資本準備金に計上することがセオリーです。

ただ、資本準備金は登記されないため、実際の増資額よりも登記記録上資本が少なく見えてしまいます。そのためウェブサイトなどでは、「資本金 〇万円(資本準備金〇万円を含む)」といった記載方法で実際の資本額を表示しているケースが多いです。

資本準備金を減少させるには?

それでは一度計上した資本準備金を減少させることができるのは、どういったケースでしょうか?

資本準備金を減少するのは、主に以下のようなケースが考えられます。
・欠損てん補の場合
・資本金への組み入れを行う場合
分配可能額を増やすことで配当を行う場合

資本準備金を減少するための手続き-株主総会の決議

資本準備金を減少させるためには、株主総会の普通決議と債権者保護手続きの2つが必要です。株主総会の普通決議では、以下の3つの事項を決定しなければいけません。

1)減少する資本準備金の額
2)減少する準備金の額の全部または一部を資本金とする場合はその旨
3)準備金の減少がその効力を生ずる日

ただし、資本準備金の減少と同時に株式の発行と行って資本準備金の減少の効力発生日の前後で資本準備金の額に全く変動がない、または資本準備金が増加するようなケースでは取締役会決議(取締役会がなければ取締役の過半数の決定)で資本準備金の減少の決議を行うことも可能です。同時に増資を行って資本準備金の額が結果的に減少しなければ、株主の利益を損なってはいないためです。

資本準備金を減少するための手続き-債権者保護手続き

資本準備金の減少を行う場合でも債権者保護手続きは必要ですが、以下の2つのケースに該当する場合には、債権者保護手続きは不要となっています。

・定時株主総会において資本準備金の減少を決議していて、かつ減少する資本準備金の額を全額欠損てん補に充てる場合
・準備金を減少して資本金に組み入れる場合

欠損てん補にしても、資本金への組み入れにしても、いずれの場合も分配可能額が増加するわけではないので、配当を通して株主資本が社外に流出することで債権者にとって不利益になるということがないため、債権者保護手続きが不要になっています。

欠損てん補で債権者保護手続きを省略できるのは定時株主総会に限られます。定時株主総会であれば欠損の額が決算によって確定しているためです。臨時株主総会で資本準備金の減少を決議する場合には債権者保護手続きが必要になります。

 

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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