コラム

増員や補欠の取締役の任期はどうなる?

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多くの会社では、会社を設立する際に取締役の任期を10年で設定します。取締役などの役員は任期満了のたびに重任の登記を行う必要があり、コストも手間もかかります。そのため、会社法上認められる最長の10年で任期を設定している会社が多いのです。

それでは、取締役の任期を10年で設定している会社について、その途中で役員に就任した人の任期はどうなるのでしょうか?例えば以下のケースです。

2022年4月1日会社設立 取締役Aが就任

2023年4月1日 取締役Bが就任

この場合、定款上何も規定していなければ、Aの任期満了時期とBの任期満了時期は異なります。就任時期が1年ずれているためです。そのため、重任の登記も1年ごとに行わなければならないということになります。しかし、これではせっかく任期を10年に伸長したのに登記の手間が複数回発生してしまい、結局手間もコストもかかってしまいます。

定款に記載することで任期満了を合わせることができる

上記のような手間を避けるためには、定款に定めることによって増員や補欠の役員の任期について、その他の取締役の任期に合わせるということが可能です。定款では以下のように定めるのが一般的です。

「補欠又は増員により選任された取締役の任期は、他の取締役の任期の残存期間と同一とする。」

この条項が定款に入っていれば、タイミングがずれて就任した取締役についてもその他の取締役と同じタイミングで任期満了となり、登記の手間も一回で済みますし、個別に任期の管理をしなくてもよくなりますので重任の決議や重任登記の漏れを防ぐこともできます。

補欠取締役とは?

ちなみに、取締役の補欠というのは、単に役員が任期途中で退任したから後任を選任するという意味ではありません。補欠の役員とは、任期途中で取締役が退任する事態に備えて、あらかじめ欠員を補充するために取締役となるべき人を選任しておくことです。しかし、補欠の取締役でない限り、任期を合わせられないとすると結局欠員が出た場合は任期がバラバラになってしまいます。そのため、上記の定款の規定でいうところの「補欠」には、取締役に欠員が発生した後に選任された取締役についても適用されるというのが一般的な解釈です。

なお、補欠の取締役の予選については、次期定時株主総会の開始時まで効力を有しますが、定款で定めることによって、補欠取締役の予選についても予選の効力の有効期間を延ばすことができます。裏を返せば定款に別段の定めがなければ補欠取締役の選任は定時株主総会を行うごとに失効して改めて選任しなければならないということになります。

補欠取締役の扱いについては、会社法本体ではなく、会社法施行規則によって詳細に規定されています。

会社法施行規則(補欠の会社役員の選任)
第96条 法第329条第三項の規定による補欠の会社役員(中略)の選任については、この条の定めるところによる。
2 法第329条第三項に規定する決議により補欠の会社役員を選任する場合には、次に掲げる事項も併せて決定しなければならない。
一 当該候補者が補欠の会社役員である旨
二 当該候補者を補欠の社外取締役として選任するときは、その旨
三 当該候補者を補欠の社外監査役として選任するときは、その旨
四 当該候補者を一人又は二人以上の特定の会社役員の補欠の会社役員として選任するときは、その旨及び当該特定の会社役員の氏名(会計参与である場合にあっては、氏名又は名称)
五 同一の会社役員(二以上の会社役員の補欠として選任した場合にあっては、当該二以上の会社役員)につき二人以上の補欠の会社役員を選任するときは、当該補欠の会社役員相互間の優先順位
六 補欠の会社役員について、就任前にその選任の取消しを行う場合があるときは、その旨及び取消しを行うための手続
3 補欠の会社役員の選任に係る決議が効力を有する期間は、定款に別段の定めがある場合を除き、当該決議後最初に開催する定時株主総会の開始の時までとする。ただし、株主総会(中略)の決議によってその期間を短縮することを妨げない。

 

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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