コラム

合同会社の業務執行社員の退任パターン まとめ

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合同会社の業務執行社員の退任については、以下のようなケースが考えられます。

1)総社員の同意による業務執行権の指定解除

2)合同会社を退社した場合(社員でなくなった場合)

3)業務執行社員としての辞任

4)業務執行社員の解任

総社員の同意による業務執行権の指定解除

業務執行社員については、総社員の同意で業務執行権の指定解除ができます。もともと業務執行社員は社員の中で業務に従事する者を社員内で指定しているものであり、委任契約を結んでいるわけではないため就任承諾は不要です。

そのため、特定の業務執行権についても総社員の同意があれば指定解除できます。とはいっても、総社員には業務執行社員本人も含まれるので、本人の同意なく、というわけではありません。

業務執行社員の退社

合同会社を退社すれば当然社員でなくなるので、当然業務執行権もなくなります。この場合には、持分の払い戻しに伴う減資の登記が必要になる場合がありますが、業務執行社員の退社の登記と減資の登記は同時に行わなければならないわけではありません。

減資の登記は債権者保護手続きが必要になるため、通常は退社の登記のあとに減資の登記を行うことになります。

業務執行社員の辞任

業務執行社員は辞任することも可能です。業務執行社員と合同会社は委任関係というわけではないので辞任という言葉が適切かどうかという問題がありますが、会社法には以下のような定めがあります。

(業務を執行する社員を定款で定めた場合)
第591条 (中略)
4 業務を執行する社員を定款で定めた場合には、その業務を執行する社員は、正当な事由がなければ、辞任することができない。
5 前項の業務を執行する社員は、正当な事由がある場合に限り、他の社員の一致によって解任することができる。

「辞任」という言葉を使っているので、業務執行社員も辞任できると捉えられます。「正当な理由」があれば、いつでも業務執行社員としての立場を辞任できるということです。

業務執行社員の解任

上記の条文の通り、業務執行社員は、その他の社員全員の一致で解任できます。この場合、業務執行社員が定款で定められている場合はどうなるでしょうか?定款の変更には社員全員の同意が必要なので、解任された業務執行社員の同意も必要ということになります。

こうなると、他の社員全員の一致があれば解任できる、という条文と矛盾してくるように思えます。しかし、実務上は、業務執行社員は他の社員全員の一致で解任可能です。その後、実態に合わせて追々定款の変更の手続きをすることになります。業務執行社員を解任されたとはいえ、社員としてはまだ残っている状態なので、そこは話し合いで何とかすることになるでしょう。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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