輸出免税の対象となる「非居住者に対するサービス」とは?
消費税は日本国内で消費・使用されるものに対して課税される税金です。例えば海外からの旅行者が国内で買った化粧品などの消費税免税を受けるには、国内で消費せずに海外に持ち出すことを前提としています。
このように、モノやサービスが海外で消費されるのであれば日本での消費税は課税されません。これを「輸出免税」といいます。輸出というとモノを国外に出荷するというイメージがありますが、輸出免税には非居住者に対するサービスの提供も含まれます。
つまり日本国内で行った業務であっても、そのサービスの受け手が非居住者であれば輸出扱いになって、消費税は免税となるということです。
消費税の輸出免税を判定する際の「非居住者」は「外国為替及び外国貿易法」上の非居住者です。この点は所得税法上の非居住者と若干異なります。
所得税法上の「非居住者」 | 日本国内に「住所」を有さず、かつ引き続き1年以上「居所」を有しない個人 |
輸出免税を判定する際の「非居住者」 | 日本国内に住所または居所を有さない個人(日本の滞在期間が6か月以上になると非居住者ではなくなる)
日本国内に主たる事務所を有さない法人 |
このように個人の場合、所得税であれば1年以上の居所があるかどうかという基準ですが、輸出免税を判定する際の非居住者は6か月となっています。
非居住者に対するサービスとして消費税が免税となる具体的ケース
・日本に支店を持っていない外国法人からの依頼で、日本国内でその外国法人の商品の宣伝や営業代行をしたときのフィー
・日本に支店を持っていない外国法人からの依頼で、外国において開催されるイベントへの出店勧誘をしたときのフィー
・日本に支店を持っていない外国法人からの依頼で、日本市場や日本の法律などに関する各種情報提供を行ったときのフィー
このほかにも個別の事例に当てはめて判断していくことになりますが、重要なポイントは「日本に支店を持っていない」という点です。
もし日本に支店を持っている(つまり基本的には外国会社の登記を日本国内でしているはず)場合には、各種取引は日本支店を経由して行ったものとして扱われます。そのため、相手方が日本に支店を持っている場合、役務の提供については輸出免税の適用を受けることはできず、消費税の課税対象となります。輸出免税を受けられるかどうかを判断するには、相手方が外国会社の登記をしていないかということを確認しておく必要があります。
ただし、以下の2つの要件をいずれも満たす場合には、例外的に日本に支店を持っている外国法人相手でも輸出免税の適用を受けることができます。
(1) サービスの提供が外国法人の本店との直接取引であり、日本国内の支店や出張所等がに直接的にも間接的にもかかわっていないこと。
(2) サービスの提供を受ける外国法人の国内支店又は出張所等の業務が、当該役務の提供に係る業務と同種または関連する業務でないこと。
非居住者に対するサービスとして扱われないケース
・外国法人からの依頼で、国内のユーザー向けにソフトウェア等の保守サービスを行うケース
・その他国内において直接サービスを受けるケース(外国法人の従業員が国内でタクシーを使うなど)
当事務所でも、海外在住者や海外企業による日本法人の顧問先が増えてきているため、こうした海外関係の消費税について日々扱いが増えてきています。海外企業と取引する会社については、そうした扱いに慣れている税理士に依頼することをオススメします。
この記事の執筆者
-
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
最新の投稿
- 会社法2024年11月24日株式会社の解散登記で定款添付が必要な理由
- 会社法2024年11月20日合同会社で出資の払戻しをするときの金額の限度額規制
- 税務会計2024年11月18日車両を会社で固定資産で計上する際の車検証の名義
- 商業登記2024年11月15日定款などでお金を表現する際に「金」という言葉が付いている理由