コラム

合同会社の法人社員の職務執行者を選任したときの登記

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

合同会社の職務執行者の登記が必要なケースは?

合同会社が法人社員を業務執行社員にした場合は、実際の業務を行う職務執行者を選任して、他の社員にその旨を通知する必要があります。

合同会社の社員は出資者なので法人でも社員になり得ますが、その法人が業務執行を行うとなると、実際にその法人のために職務を行う人を職務執行者に選んで、その人が業務執行社員である法人の職務を行うことになります。

選任 登記
業務執行社員の職務執行者 義務 されない
代表社員の職務執行者 義務 される

法人である業務執行社員には職務執行者が必須ということになりますが、登記される職務執行者は代表社員に関する者のみです。

職務執行者の登記に必要な書類

職務執行者の選任は、業務執行社員の形態に応じて以下の書類が必要です。

法人である業務執行社員の組織構成 必要な書類(決議機関)
取締役会設置している株式会社 取締役会議事録
取締役会を設置していない株式会社 取締役の過半数の同意が分かる書類
合同会社 業務執行社員の過半数の同意が分かる書類

更に職務執行者を選任するには、その人の就任承諾も必要となりますので、就任承諾書の添付も必要です。

就任承諾書

私は、合同会社ABCの業務執行社員である株式会社XYZの職務執行者への就任を承諾します。

令和4年1月1日

東京都渋谷区○○1-1-1

合同会社ABC
職務執行者 山田 太郎 印(認印でOKです。)
            
株式会社XYZ 御中

ややこしいですが、合同会社ABCは職務執行者として選任された合同会社(山田太郎さんが職務執行者として登記される会社)、株式会社XYZは合同会社ABCの業務執行社員です。就任承諾は、合同会社宛てではなく、業務執行社員である法人宛てとなります。

職務執行者が複数名いる場合は、その人数分の就任承諾書が必要となります。

ちなみに、もともと業務執行社員であった法人が代表社員になった場合、その時点で職務執行者の登記も必要となります。しかし、職務執行者の選任タイミングは業務執行社員になった時なので、職務執行者の選任の書類や就任承諾書も、代表社員になったときではなく業務執行社員になったときのものが必要です。もしその当時書類を作成していなければ、当時の日付で再度作成するなど必要になってきます。

職務執行者がいる場合の印鑑届書

細かい話ですが、合同会社の代表社員が法人で、その印鑑届書を提出する場合は、記載もやや変わってきます。

印鑑提出者の欄は以下のように記載します。氏名の欄が3段書になります。

資格 代表社員
氏名 本店 東京都渋谷区○○1-1-1
商号 株式会社XYZ(会社法人等番号)
職務執行者 山田 太郎
生年月日 (職務執行者のもの)

会社法人等番号の記載は任意ですが、記載することによって、登記の際に株式会社XYZの登記事項証明書の添付が不要となります。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

関連記事

新着コラム

  1. 合同会社では資本金を減少できるケースは以下の3つです。
  2. 株式会社が解散をする際には、その株式会社の定款を登記申請書類に添付する必要があります。
  3. 合同会社では、利益分配のほかに社員に対して払い戻す方法として、持分の払戻しと出資の払戻しがあります。
  4. 会社で社用車を固定資産として計上するには「車検証の名義が会社でなくてはいけない」ということが言われま...
  5. 定款のサンプルを見ていると、よくお金を表示する前に「金」という言葉が付いていることがあります。
ダウンロードはこちら