コラム

合同会社から株式会社への組織変更と資本金の関係

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合同会社から株式会社への組織変更時の資本金の額はいくら?

合同会社から株式会社への組織変更においては、最低でも商号が変わります。商号は、会社の種類以外の部分は旧商号と同一でもよいですし、変更しても問題ありません。

例えば、合同会社ABCから株式会社DEFに組織変更することも可能です。

それでは、合同会社が株式会社に組織変更した場合、資本金はどうなるのでしょうか?

会社計算規則では、以下のように定められています。

(組織変更後株式会社の株主資本)

第三十四条 持分会社が組織変更をする場合には、組織変更後株式会社の次の各号に掲げる額は、当該各号に定める額とする。

一 資本金の額 組織変更の直前の持分会社の資本金の額
二 資本準備金の額 零
三 その他資本剰余金の額 イに掲げる額からロに掲げる額を減じて得た額
イ 組織変更の直前の持分会社の資本剰余金の額
ロ 組織変更をする持分会社の社員に対して交付する組織変更後株式会社の株式以外の財産の帳簿価額(組織変更後株式会社の社債等(自己社債を除く。第五号ロにおいて同じ。)にあっては、当該社債等に付すべき帳簿価額)のうち、組織変更をする持分会社が資本剰余金の額から減ずるべき額と定めた額
ややこしいですが、まず組織変更直前の資本金がそのまま株式会社の資本金になるということが定められています。ということは、全額資本剰余金となっている場合は、組織変更後の資本金も0円ということになります。また、合同会社ではもともと資本準備金というものが存在しないので、組織変更後の資本準備金の額が0というのも当たり前のことを言っているだけです。

合同会社では、会社の判断で、払い込みを受けた出資を資本金と資本剰余金に自由な割合で振り分けることができます。そのため、全額を資本剰余金に振り分けていると、組織変更後の株式会社の資本金も0円ということになります。

有償増資時の規定と混同しないように注意

ここで混乱してはいけないのは、株式会社の有償増資の際の規定です。株式会社が増資をする際には、払い込みを受けた金額のうち、2分の1以上は資本金にしなければならないと定められています。

しかし、組織変更では、払込みを行っているわけではないので、この規定は関係ありません。上記の会社計算規則に従って資本金の額と資本剰余金の額を、組織変更後の株式会社の資本金やその他資本剰余金の額として計上すればよいということになります。

 

 

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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