合同会社から株式会社への組織変更
一旦合同会社として会社設立した場合に、株式会社への組織変更が必要になることがあります。
- 新たに外部の投資家から投資を受けるにあたって、株式の発行が必要になったため
- 人員採用にあたって、株式会社のほうが求人が集まりやすいため
- 取引上の信用アップのため
など、合同会社から株式会社に組織変更する理由は、会社によってさまざまです。
合同会社と株式会社の違いについてはこちらをご覧ください
合同会社から株式会社への組織変更に必要なプロセス
合同会社から株式会社に組織変更するためには、登記の変更が必要ですが、その前に主に3つのプロセスが必要です。
プロセス1 総社員の同意(定款に別段の定めがある場合を除く)
まずは、総社員の同意(定款に定めがあれば、その定めに従う)によって、株式会社への組織変更を決議します。
1人だけの合同会社であれば、自分の一存で決められますし、定款に例えば、「組織変更の決議は業務執行社員全員の同意により行う。」となっていれば、業務執行社員だけで決議できます。
プロセス2 債権者への催告書
合同会社から株式会社に組織変更することで、既存の債権者(例えば仕入先や、融資を受けている金融機関など)に催告が必要です。催告書は組織変更の効力発生日の1か月前までには相手方に届いている必要があります。
日刊新聞やインターネットのサイトを公告方法をして登記している場合は、その公告方法で公告することで催告書の発送に代えることができます。
プロセス3 官報公告
合同会社から株式会社に組織変更する場合には、必ず官報公告が必要となります。これは日刊新聞やインターネットのサイトを公告方法をして登記している場合でも同じです。官報公告は組織変更の効力発生日の1か月前までには行う必要があります。
主に、この3つのプロセスを経て組織変更が可能となります。
特に、催告書や官報公告については、1か月という期間が指定されているので、組織変更を急ぎたい場合はこれらを早めに行う必要があります。とくに官報公告については申し込んでから掲載まで10日ほどかかりますので、優先的に行っておいたほうがよいでしょう。
費用は、登録免許税6万円、官報公告費用として約35,000円ほどかかります。このほかに司法書士に手続きを依頼すれば、その手続き報酬もかかります。
ちなみに、合同会社から株式会社に変更することで社名も変わりますが、法人としては同じです。(人でいえば姓が変わるようなものです。)同一法人なので、法人番号も変わりませんし、財務諸表の数字もそのまま引き継ぎとなります。また、法人税の欠損金の繰越などもそのまま引き継ぎとなります。
当事務所でも、合同会社から株式会社への組織変更手続きサービスを承っております。迅速に組織変更を行いたいという場合には、ぜひV-Spiritsグループにご相談ください。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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