責任限定契約とは?
取締役をはじめとする株式会社の役員は、その職務の遂行にあたって会社に損害を与えた場合にはその損害を賠償する責任があります。
かといって軽微な過失があったからといって事後的に役員に賠償責任が生じるのは経営の萎縮につながります。さらに、外部の取締役と常勤の取締役では責任の重さに差をつけたいという思いも当然存在します。
そこで、非業務執行取締役、会計参与、社外監査役、会計監査人については、これらの役員等に善意かつ重過失がなければ、定款で定めた額の範囲であらかじめ 株式会社が定めた額と、最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする契約を締結できる旨を定款に定めることができます。
いずれも常勤ではない役員のため、その責任について上限を設けることができます。ただし、この責任限定契約を締結できるようにするには、定款にその旨を定める必要があります。(責任限定契約を締結できる旨は定款の相対的記載事項です。)
非業務執行取締役とは?
多くの中小の株式会社が責任限定契約の定めを設ける場合、その目的は非業務執行取締役との間の締結となります。この非業務執行取締役の範囲は「社外取締役」よりも広く、常勤の取締役でなければ非業務執行取締役と考えてよいです。
また、非業務執行取締役が業務執行取締役となった場合には、責任限定契約を締結していたとしてもその効力は失効します。業務執行取締役となった時点で執行するため、非業務執行取締役であったときの行為が原因での責任については、業務執行取締役になった後でも責任限定契約に基づいて責任に上限が適用されます。
責任限定契約における責任の上限
責任限定契約では、賠償責任を負う額から以下の2つの金額のうちいずれか高い額を引いた金額が免除の上限とされています。
1)定款で定めた額の範囲内であらかじめ会社が定めた額
2)最低責任限度額(1年間の報酬額×2)
例えば、賠償責任額が100万円、会社があらかじめ定めた額が50万円、最低責任限度額が60万円とすると、免除額は100万円-60万円=40万円ということになります。裏を返せば賠償額は60万円となります。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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