合同会社で「社員名簿」は作成する必要はない
合同会社を設立した会社様から、ときどき「社員名簿」なる書類を作成するように求められることがあります。お金を借りようとする金融機関から求められているということが多いのですが、そもそも合同会社には「社員名簿」という書類は存在しているのでしょうか?
答えからすれば、「社員名簿」なる書類は存在しません。おそらく株式会社で株主名簿を作成する必要があることから、それに対応するものとして「社員名簿」なるものを求めてきているのだと思います。しかし、合同会社においては、定款に「社員の氏名又は名称及び住所」や「社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準」を記載しなければならないため、定款そのものが社員名簿ということになります。これは、株式会社では定款内に株主を記載せずに別途株主名簿で管理するのと異なる点です。
もし合同会社で「社員名簿」なる書類の提供を求められたときは、定款そのものが社員名簿であることをしっかりと相手に伝えましょう。合同会社では、定款とは別に「社員名簿」を作成する必要は一切ありません。
合同会社では社員に異動があれば都度定款を書き換えておく必要がある
合同会社では定款が社員名簿を兼ねているということは、出資者である社員の入退社があるたびに定款を書き換えなければならないということです。定款の記載をもって社員であることの資格を会社に対して主張できます。社員になる人は、出資後に定款を確認して、社員として定款に自らが記録されているかどうかをしっかりと確認しておく必要があります。
また、合同会社側は社員に変更があれば、その都度定款を書き換えて最新版を保管しておく必要があります。また、いつ社員の資格を取得したのか、つまり持分の異動があった日付も定款に記録しておく必要があります。持分の異動日については定款の絶対的記載事項にはなっていませんが、社員資格の取得時期を明確にするために持分の異動日も定款の末尾などに明記しておきましょう。
ちなみに、定款の記載はあくまで社員と会社の間でのみ主張できますが、定款の記載をもって、第三者に社員資格を主張することはできません。万が一持分を二重譲渡したようなケースがあれば、話し合いで解決ということになるでしょう。
この記事の執筆者
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V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。
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