コラム

合同会社の社員退社時の持分の払い戻し

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合同会社の持分の払い戻しの計算

合同会社では、社員が退社する際に持分の払い戻しを行う必要があります。持分を払い戻す際には、まずはそれぞれの社員の持分を計算する必要があります。

AとB2名の合同会社のケースを考えてみます。

Aの出資額(資本金+資本剰余金)=200
Bの出資額(資本金+資本剰余金)=100
とすると、A:B=2:1です。
B退社時の利益剰余金が450あったとすると、Bの取り分は450×1/3=150となります。

この計算で行けば、Bが払い戻しを受けられる額は、100+150=250となります。(定款に別段の定めをしておけば、払戻額を出資比率以外にすることも可能です。)

ちなみに、合同会社では、資本金等は社員ごとに管理しなければいけません。実際に持分を払い戻す際には、個別管理した資本金等を払い戻すことになります。

時価評価が必要な場合

合同会社の資産が現預金や売掛金など、額面がそのままの価値を表す資産だけであれば特に上記の計算で問題ありません。ただし、例えば土地や有価証券などの資産を合同会社が保有している場合には注意が必要です。なぜなら、持分の払い戻しについては、資産は時価評価後の数字を用いるということになっているからです。合同会社の持分を譲渡するケースと同じく、合同会社が将来的にも経営を継続する前提で、退社時の価値を測りなおす必要があります。

例えば、合同会社が土地を保有している場合で、退社時に売却したとしたら売却益が90(含み益が90)であるケースでは、この含み益にかかるBの取り分は90×1/3=30となります。したがってBが払い戻しを受けられる額は280ということになります。

合同会社は小規模なことも多いため、貸借対照表上の科目も時価評価をすべきものは少ないケースが多いのですが、もし市場価値があるような資産を保有していれば、時価評価をし直す必要があります。

持分払い戻し時の会計処理

持分を払い戻した場合は、まずは退社した社員にかかる資本金と資本剰余金の額を優先的に減額します。その上で、引ききれない額については利益剰余金を減額します。

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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