コラム

合同会社における減資

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合同会社で減資ができるのは?

合同会社において減資といえば、資本金を減少させるか資本剰余金を減少させることをいいます。合同会社では資本準備金が存在しませんので、株式会社のように資本準備金を減少させるという手続きはありません。

合同会社では、減資をすることができるのは、以下の3つのケースに限られます。

1)損失のてん補による資本金から資本剰余金への振り替え

2)出資の払い戻しに伴う資本金から資本剰余金への振り替え

3)持分の払い戻しに伴う資本金の払い戻し

株式会社のように、資本金を資本準備金に振り替えることで税制の優遇を受けるために減資するといったことが、合同会社ではできないのです。

合同会社の資本金は簡単には減らせませんので、合同会社においては資本金の計上額は株式会社以上によく検討しておく必要があります。合同会社であれば、株式会社のように、増資額の50%は資本金に計上しなければならないというルールもありません。(合同会社は資本金0円でも会社設立可能です。)資本金は対外的な会社のイメージを形作る要素の一つではありますが、例えば100万円などある程度体裁が整う金額を資本金として計上して、残りは資本剰余金で計上するというのも一つの手です。

合同会社の減資手続き

合同会社で減資を行うには、定款に別段の定めがなければ、業務執行社員の過半数による決定が必要です。

また、合同会社で資本金を減少させるには、債権者保護手続きが必要となります。合同会社で資本剰余金を減少させる場合には、債権者保護手続きは不要となります。

債権者保護手続きは、公告の方法に応じて、以下の通りです。合同会社の場合は、株式会社と異なり、減資の公告の前提として直近の決算公告は不要です。

定款の公告方法 公告 知れている債権者への格別の催告
官報 官報 必要
日刊紙 官報 省略できる
電子公告 官報 省略できる

 

この記事の執筆者

渋田貴正
渋田貴正
V-Spiritsグループ 税理士・司法書士・社会保険労務士・行政書士
税務顧問・社労士顧問のほか、会社設立登記や会社変更の登記などの実務を幅広くを担当。その他各種サイトや書籍の執筆活動も展開中。

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